<高校野球秋田大会:明桜7-0六郷>◇16日◇2回戦◇秋田市八橋球場

 東北のプロ注目投手たちが、初戦から躍動した。秋田では、明桜の最速143キロ左腕、砂田毅樹(3年)が六郷戦で今夏初先発。打者26人から13三振を奪い、2安打完封で7回コールド勝ちに貢献した。

 東北NO1左腕の夏は、驚異の奪三振ショーで幕を開けた。1回、3番佐藤の空振り三振を皮切りに、六郷打線のバットが空を切り続ける。5回2死からの4者連続を含む、毎回の13K。対峙(たいじ)した打者26人のうち、半分を三振で仕留めた。「4回くらいまでは緊張したけど、後半は思った通りの投球ができた」。7イニングを85球で締めるなど、収穫の多い初登板だった。

 今秋のドラフト候補も、春は苦しんだ。左腕に死球を受け、春季県大会は登板なし。6月の練習試合でも打ち込まれることがあったが、離脱期間に体幹トレーニングや走り込みに力を入れたことで、夏直前に調子が上向いてきた。この日は右打者に有効なスクリューボールを封印した中、右打者から11三振。直球も141キロをマークし「ほぼ完璧な状態」と言えるまでに復調した。

 家族の支えを力に変えた。北海道出身で寮生活を続けていたが、昨夏に両親が秋田に移住。砂田は父達也さん(43)が見つけた治療院で体をケアし、母春美さん(42)の手料理で体作りに励んできた。達也さんはトレーニング器具を購入し、自宅でも息子のレベルアップに協力する。直球の最速は、中学時代の125キロから143キロに達した。

 小学校時代は、セレクションで選抜される日本ハムジュニアの一員として、12球団ジュニアトーナメントに出場。当時、監督だった日本ハム白井康勝スカウトは「順調に成長している。経験を積めばまだ伸びる」と高く評価する。甲子園はおろか、東北大会にも出場したことがない砂田は、全国レベルの打者との対戦に飢えている。「悔いなく、楽しんで1球1球投げたい」。北の大地からやってきた逸材が、秋田経由で甲子園を目指す。【今井恵太】

 ◆砂田毅樹(すなだ・よしき)1995年(平7)7月20日、札幌市生まれ。小2から山鼻アカシアで本格的に野球を始め、中学時代は札幌南シニアに所属。明桜では1年春からベンチ入り。身長は春から1センチ伸びて179センチ、体重は75キロ。家族は両親、姉2人、妹。