<高校野球大阪大会:大阪桐蔭9-2大手前>◇17日◇2回戦◇豊中

 夏の甲子園連覇を目指す大阪桐蔭は今秋ドラフトの目玉、森友哉主将(3年)が高校通算36号の3ランを放つなど、7回コールド勝ちで初戦を突破した。

 ケガをしていても、森友は「森友」だった。6回無死一、二塁。相手エース川口康平(3年)の代わりばなの4球目、内角高めから入ってきたカーブを右翼ネットに突き刺すライナー弾。「夏の初戦に打つことができた。価値のある1本だったなと思います」。記憶に残る1本に胸を張った。

 「3番、レフト、森君」。耳慣れないアナウンスにスタンドがどよめいたのは試合前。辻田大樹外野手(3年)に外野手用のグラブを借り、森友は公式戦では2年春以来となる左翼についた。2日前の15日の練習中、二塁に滑り込んだ際に左手小指をスパイクされた。縫合した方が治りは早いと診断され、3針縫った。痛み止めを飲みながら備えた試合当日、患部に腫れは残ったが小指を曲げられるようになった。「レフトでいこう」と西谷監督が決断した。

 期待通り世代NO・1の打力は無敵だった。2点を追う初回1死二塁は、反撃の1点につながる右前打。先頭の3回は左翼手の捕球ミスを誘うフェンスぎりぎりの当たりを放ち、一気に三塁に到達。四球をはさんで6回の第4打席は3ランで締めた。初戦は3打数2安打3打点2得点だった。

 西谷監督と主将との師弟関係。厳しい言葉もあるが、日々の言葉の中で森友が心に刻んだ一言がある。「自分のためだけでなくだれかのために野球をすると思えたら、より力が出るんだぞ」。甲子園を目指す仲間がいる。甲子園行きを心待ちにする家族がいる。そして甲子園には、森友を待つ観客がいる。【堀まどか】

 ◆森友哉(もり・ともや)1995年(平7)8月8日、大阪・堺市生まれ。5歳から「庭代台ビクトリー」に所属し、三塁手兼投手。東百舌鳥中では「堺ビッグボーイズ」に所属。大阪桐蔭では1年秋から背番号2でベンチ入りし、2年で甲子園春夏連覇。同秋の第25回IBAF18U世界選手権で高校日本代表正捕手。170センチ、80キロ。右投げ左打ち。