<高校野球奈良大会:智弁学園12-0奈良北>◇18日◇2回戦◇佐藤薬品スタジアム

 投のスーパー2年生が愛媛の安楽なら、打は奈良の岡本だ。智弁学園の4番の岡本和真内野手(2年)が130メートル場外弾と満塁弾の2本の本塁打を放つなど6打点の大活躍。5回コールドで夏初戦を飾った。

 高々と上がった打球は左翼スタンドを越えて、スタンド奥に消えていった。1回、スクイズで先制した直後の2死走者なし。カウント3-0から「甘めに入った」という直球を、2年生4番の岡本が引っぱたいた。推定飛距離130メートルの超豪快アーチ。「緊張していましたけど、打って走っている間に解けました」。三塁を回ったところで、体の正面で小さなガッツポーズも飛び出した。

 打のスーパー2年生の夏初戦はこれだけで終わらない。5回1死満塁では「狙っていた」と、左中間へコールド勝ちを決める満塁本塁打。打った瞬間、外野手も足を止める一打だった。

 高校通算は37本塁打。17日の大阪大会で大阪桐蔭のスラッガー森友哉(3年)が放った通算36本を上回った。しかし岡本がこだわるのは、奈良大会での本塁打数。小坂将商監督(35)が持つ奈良大会4本塁打の記録だ。「(監督の)記録を塗り替えた先に甲子園があると思います」。もう一つ、岡本が意識するのは同学年の投のヒーロー。前日、済美(愛媛)の2年生エース安楽智大投手が、自己最速を更新する153キロをマークした。「同じ学年には抑えられたくないですね」と闘志をむき出しにする。

 スーパー2年生と言えば、同じ奈良には大和広陵のエース立田将太投手もいる。安楽と対戦するためにはまず奈良大会を制さなければならない。「先輩との最後の夏。4番として強い気持ちで引っ張っていきたい」。監督が持つ大会記録を更新し、甲子園へ。153キロ右腕との対決を夢見て、打のスーパー2年生が本塁打を量産する。【宮崎えり子】

 ◆岡本和真(おかもと・かずま)1996年(平8)6月30日、奈良県五條市生まれ。小1年から「カインド」で投手で軟式野球を始める。五條東中では「橿原磯城シニア」に所属。投手と三塁手を兼任。智弁学園では1年春からベンチ入り。183センチ、95キロ。右投げ右打ち。