<高校野球静岡大会:静岡商6-3加藤学園>◇20日◇2回戦◇草薙球場

 昨年の準優勝校、静岡商が国松歩(あと)投手(2年)の逆転2ランを皮切りに、加藤学園を下した。2-2で迎えた8回裏に1点を勝ち越された直後の9回表、左翼席へ自身公式戦1号を放った。初登板の緊張から初回に2失点したものの、尻上がりに調子を上げて6安打完投した。静岡商は23日の3回戦で三島と対戦する。

 9回表、静岡商の攻撃。大代茂雄監督(44)は負けを覚悟していた。「笑顔で行け」と選手を送りだす。先頭の川島健矢捕手(3年)が三遊間を破る。続く国松は2球目の内角スライダーを強振した。草薙の空に上がった打球は曇天を切り裂き、大歓声を巻き起こした。

 国松

 逆風だったけど打った瞬間に入ると思った。

 線審の手が回ると右手を上げてベースを1周。仲間から手荒い祝福を受けた。

 走者を出しながらも得点できない展開が続く。国松も6回表1死二塁の場面で左飛に倒れていた。「6回は感触はよかったけど、上がりすぎた」と話す。9回の打席では角度をつけて100メートルのフェンスを越した。

 国松

 先輩が打ってくれると思っていたけど、まさか自分が打つとは。塁に出てアウトを取られないようにすることを考えていた。

 大代監督も「打て」のサインを出した。「国松だし、下位打線になるし、ライナーゲッツーもしょうがない」。絶体絶命の開き直りが好結果をもたらした。

 9回裏を3人で抑えると国松がほえた。

 国松

 セイショウの看板を背負っている。こんなところで負けてたまるか。

 序盤は制球に苦しみいきなり2失点。甘く入ったストレートを狙われた。だが、中盤からスライダーを効果的に使ってリズムをつかんだ。「初登板で緊張して序盤は空回りした」。春からはセットポジションにも取り組んできた。終盤に失点したが手応えもつかんだ。「もっとよくなる感触がある」と国松。はっきり言い切る姿は頼もしかった。【加納慎也】