<高校野球熊本大会:文徳5-4済々黌>◇22日◇準決勝◇藤崎台

 パーフェクト右腕が投げ勝った!

 春の九州大会で完全試合を達成した文徳・本田建都投手(3年)と3季連続の甲子園出場を狙った済々黌の左腕・大竹耕太郎投手(3年)が激突。最後までお互い譲らぬ戦いは、1点差で文徳が逃げ切り8年ぶりに決勝へ進んだ。

 9回、1点差に追いつかれなおも2死二、三塁。マウンドの文徳・本田は済々黌にひっくり返されそうな流れにも負けなかった。「すべてをこの1球にかける」と全力でスライダーを投げ込み空振り三振。駆け寄ろうとした主将の西山時人(ときと)捕手(3年)が左足をつり、その場にうずくまるほどの激戦だった。

 本田は3回、先に3点を失った。高めに浮いたカーブを狙い打ちされた。それでも4回にすぐ打線が大竹を攻略。4連打を含む6安打を集中し5点をプレゼントしてくれた。本田は5回以外、毎回走者を背負いながらも159球、9回9安打4失点でなんとか逃げ切った。

 本田は大竹に初めて投げ勝った。飽田中時代は本田が右肘を痛めて投げ合えず、1年の新人戦では0-6と完敗だった。「投手としては大竹の方が上。大竹は前からも今もこれからも僕にとってライバル。熊本にああいういい投手がいるから負けられない気持ちになります」。大竹の存在があったから完全試合をするほどまでに成長できた。

 試合後、整列で大竹のもとに歩み寄り握手を交わした。大竹から「甲子園に行ってくれ」と言われ「お前のためにも絶対行く」と約束をした。平井洋介監督(35)は「(6月末の)インフルエンザに感染がなければスタミナは心配ないのですが」と話す。今日23日の休養日で激闘の疲れを取り、明日24日10時、大竹の思いも背負い本田が文徳の16年ぶりの甲子園行きを決める。【石橋隆雄】