<高校野球茨城大会:常総学院4-2霞ケ浦>◇25日◇決勝◇水戸市民球場

 3季連続の甲子園を決める一打は、やはりこの男のバットから放たれた。同点の9回裏2死一塁。常総学院の4番内田靖人内野手(3年)が振り抜いた打球は、グングン伸びて右翼席中段に飛び込んだ。昨年に続く決勝戦でのV弾は、自身初のサヨナラ打となった。「頭が真っ白だった。三塁を回るとみんなが待っていたので、やっと実感が湧きました」。ホームベース上で仲間からもみくちゃにされた。

 苦しい展開だった。初回に先制されると、霞ケ浦の継投策に7回まで無得点。8回表に追加点を奪われたが、その裏に内田の安打を皮切りに連続適時打で同点に追いついた。迎えた9回。1番から始まる攻撃陣に「俺に回せ。俺が決める」と宣言すると、霞ケ浦・片野の4球目、外角直球を仕留めてみせた。大会タイ記録となる4本目の本塁打は、高校通算33号。右方向へは6本目の1発だった。

 今春センバツでは初戦の2回戦で済々黌(熊本)に0-2と0封負け。佐々木力監督(47)は「好投しても、打てなきゃ勝てない」と投手中心に守り勝つ野球から打力強化に方針転換した。1年生の新戦力も加わり、センバツ優勝の浦和学院(埼玉)など強豪校と練習試合を重ねて勝負強くなったチームは、大会タイ記録の6本塁打を記録した。

 「目標は全国制覇」と言い続けてきた内田。3度目の甲子園を前に「楽しみです!」と早くも聖地での戦いを心待ちにしている。近年甲子園での成績が低迷している茨城県勢。主砲が「宣言通り」頂点へ導く。【桑原亮】

 ◆常総学院

 1983年(昭58)創立の私立校。野球部も同年に創部。生徒数は1545人(女子666人)。部員数87人。甲子園出場は春7度、夏は2年連続15度目。春夏ともに優勝1度。主なOBは元巨人仁志敏久、日本ハム金子誠。所在地は土浦市中村西根1010。玉井尚良校長。◆Vへの足跡◆

 

 

 2回戦6-1那珂3回戦11-2波崎柳川4回戦10-3つくば国際大土浦準々決勝11-4水戸工準決勝7-1水城決勝4-2霞ケ浦