<高校野球兵庫大会:西脇工3-2明石商>◇25日◇準々決勝◇明石トーカロ

 全国高校駅伝男子で8度優勝の陸上の名門・西脇工がサヨナラ勝ちで初の4強だ。エース翁田勝基(3年)が、1回にいきなり右腕に打球を受けるアクシデント。木谷忠弘監督(40)は「どきっとした。祈るような気持ちでいました」。翁田は「当たった瞬間、しびれがあって。投げられるかなと不安が頭をよぎった」と振り返った。

 1死一塁と走者を置いていた。不安な視線に見守られる中、治療をしてマウンドに戻る。腕には打球の跡がくっきり残っていたが、気力で投げた。9回を9安打されたが、2失点と踏ん張って反撃を待った。「2点を取られた後に追いついてくれてよかった」。

 エースの気迫はチームに伝わった。2-2同点の9回裏、木谷監督の「ここで負けたらあかん!」とげきが飛んだ。1死二、三塁のチャンスを築き、打席に女房役の西沢諄捕手(3年)。カウントは2-2と追い込まれたが、鮮やかにスクイズを決めた。チームの団結力を強め、27日の準決勝は育英に挑む。

 ◆翁田勝基(おうた・まさき)1996年(平8)2月9日、兵庫・多可町生まれ。八千代北小1年から「八千代少年野球クラブ」で野球を始め投手。八千代中では「氷上ボーイズ」に所属。西脇工では1年夏からベンチ入り。50メートル走6秒2。182センチ、81キロ。右投げ右打ち。姉あかりさん(19)は天満屋陸上部に所属。