<高校野球山梨大会:日本航空9-7東海大甲府>◇26日◇準決勝◇小瀬球場

 まるでリプレーを見ているようだった。日本航空の4番・金沢大樹内野手(3年)が2打席連続で左翼席にぶちこんだ。「狙ってしまうとダメなんで、体の開きを抑えるスイングを意識した」。4試合連続の5本塁打で、11年に山梨学院大付・小林義弘が作った大会記録に並んだ。先制&同点弾を含む3安打3打点の主砲は「1個上の先輩が夏に東海大甲府に負けていた。敵がとれた」と2年ぶりの決勝進出に笑顔を見せた。

 決してホームラン打者ではない。大会前までの通算本塁打は、わずか9本。しかも大会前までは不調で4番も外されていた。金沢は不調の原因を「体が開くから」と分析。外角を意識し、体が開かないよう素振りをした。スイング数や時間を決めず、納得するまで繰り返した。これが功を奏した。今大会は15打数8安打9打点の5本塁打。「開幕戦で勝てて勢いに乗れたのかな。自分がそこまで打てると思ってなかった。本塁打は狙ってない。振り抜いた結果です」と笑った。

 坂本孝憲監督(29)は「自信を持ってやっている。今大会から急成長した。春試合に出られなかった悔しさがあって、今は試合をできる喜びを感じてプレーしている」と金沢の爆発を評価した。記録更新がかかる決勝戦。「チームの勝利が一番。チームが勝って記録が出ればいい」と前向きに語る。部員の飲酒、喫煙による対外試合禁止処分で、春は出場を辞退した。試合に飢えていた金沢の夏は、まだ終わらない。新記録で5年ぶりの甲子園に導く。【高橋洋平】

 ◆金沢大樹(かなざわ・だいき)1995年(平7)8月2日、大阪市生まれ。豊里小2年からソフトボールを始め、東淀中時代は硬式の東淀川ボーイズでプレー。日本航空に進学後は2年春からベンチ入り。家族は両親と姉。好きなプロ野球選手は日本ハム中田翔。177センチ、83キロ、右投げ右打ち。