<高校野球愛媛大会:済美5-2今治西>◇27日◇決勝◇坊っちゃんスタジアム

 今春センバツで準優勝した済美は、安楽智大投手(2年)がこの日最速152キロで10三振を奪い、8安打2失点完投で今治西に快勝。5年ぶり4度目の甲子園出場を決めた。

 最後の打者を二ゴロに打ち取ると、安楽の表情は笑顔に変わった。8安打されたが2失点(自責1)で完投した。昨年夏、準決勝で敗れた今治西を5-2で下し、5年ぶり4度目の夏の甲子園出場を決めた。

 「去年の夏の負けがあったからこそ春(今春センバツ)の準優勝がある。春の負けがあるから今年の夏がある」

 昨年、今治西には2-3で惜敗。センバツ決勝では、浦和学院に1-17と大敗した。安楽はこの悔しさをバネに猛練習を重ねた。その成果は球数、配球、球速につながった。

 5試合40回1/3で506球を投じた。今春センバツでは5試合46回で772球。イニング数の違いをふまえても266球減。球数を減らすために取り入れたのが「ストレートで押すのではなく、変化球を取り入れること」。この日、直球が本調子ではなく、スライダーとカーブを有効に使った。スローカーブは100キロを下回り、球速差は50キロ以上。打者のタイミングをずらし、ピンチで踏ん張った。

 もうひとつは、幾度となく坊っちゃんスタジアムを沸かせた自己最速の更新。「勝負どころでギアを入れることができた」と1球で球場の空気を変えることができた。安楽も自身の成長を実感していた。

 「この大会では157キロが出た。甲子園でも最速を出したい。もしくは最速を上回るストレートを投げたい」。甲子園でも球速への野心は忘れない。甲子園最速は01年夏に寺原が出した158キロ。安楽が自己最速を超えれば、甲子園で新たな伝説を生み出すことになる。

 「ホッとしている」。まずは甲子園行きの切符を手にした。注目を浴びる1人として、戦いはこれから。熱い夏が安楽を待っている。【宮崎えり子】

 ◆済美

 1901年(明34)創立の私立校。生徒数は1772人(女子1126人)。野球部は02年に創部。部員数は51人。春2度、夏は4度目の甲子園出場。春夏通じて初出場だった04年春に優勝した。同年の夏には準優勝。13年春にも準優勝。主なOBは日本ハム鵜久森淳志、広島福井優也ら。所在地は愛媛県松山市湊町7の9の1。野沢善浩校長。◆Vへの足跡◆

 

 

 2回戦7-1帝京五3回戦7-0松山中央準々決勝7-0今治工準決勝3-2川之江決勝5-2今治西