<高校野球東東京大会:修徳13-6二松学舎大付>◇27日◇決勝◇神宮

 真夏の神宮で、「こち亀打線」が次々とダイヤモンドを駆け回った。1回2死三塁、修徳のプロ注目の4番山下竜治捕手(3年)が、138キロ直球を左中間に運んだ。バットを一握り短く持って、コンパクトに振り抜く。「前の試合で、内角の真っすぐが多かった」と狙って仕留めた。ここから4連打3点。16安打13得点と、決勝でビッグヒット連発だ。

 どこよりも長く戦ったノーシードからの挑戦。テーマは「打ち勝つ」だった。阿保暢彦監督(40)は「140キロを投げるピッチャーはいない。打たないと勝てない」と徹底した。練習の9割が打撃練習で、早朝5時から1日1500スイングがノルマ。1人1時間打撃ケージで打ち続け、倒れ込んだ。5回戦で優勝候補筆頭の帝京を破ると、この日は16安打のうち10本が二塁打。8試合中6試合コールド勝ちで、9年ぶり5度目の頂点に駆け上がった。

 4番山下は2回に適時三塁打を放ち、2安打2打点。「目標は日本一です」と、気の緩みはなかった。学校の最寄り駅はJR亀有駅。葛飾のヒーロー、漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の主人公、両津勘吉の銅像が建っている。山下は「たまに触ったりします」と、地元の“英雄”からパワーを受け取った。

 「両さん」銅像建立後、初の甲子園。試合前は控え部員が神宮周辺で30分間ゴミを拾った。普段から「クリーン作戦」と称して学校やグラウンド周辺のごみ拾いを行う。ベンチには、スタンドで応援する3年生部員全員の名前を書き込んだユニホームを飾って戦った。義理人情は忘れない、「こち亀打線」が甲子園でも大暴れだ。【前田祐輔】

 ◆こちら葛飾区亀有公園前派出所

 1976年から週刊少年ジャンプで連載を開始し、現在も継続中の最長連載作品。作者は秋本治。略称は「こち亀」で単行本は現在186巻。主人公は破天荒な警察官、両津勘吉で、左右がつながった極太眉毛が特徴。ドラマではSMAP香取慎吾が演じた。JR亀有駅前の銅像は06年に誕生し、現在は「中川」、「麗子」など他の登場人物も含めて14体ある。

 ◆修徳

 1904年(明37)創立の私立校。生徒数769人(うち女子256人)。野球部は53年に創部。部員数は97人。甲子園出場は春3度、夏5度。主なOBはロッキーズ高橋尚成、元サッカー日本代表北沢豪。所在地は葛飾区青戸8の10の1。宮地五郎校長。◆Vへの足跡◆

 

 

 1回戦9-0日本ウェルネス2回戦11-1東洋3回戦12-0荒川工4回戦7-0目黒学院5回戦4-2帝京準々決勝7-0錦城学園準決勝9-0東京実決勝13-6二松学舎大付