<高校野球福島大会:日大東北8-2福島東>◇27日◇準決勝◇いわきグリーンスタジアム

 日大東北が福島東を破り、6年ぶりに決勝に進んだ。同点とされた5回に先発左腕・山中敦熙(あつき=3年)から右腕・大和田啓亮(2年)にスイッチ。大和田が3安打無失点6三振の好投で勝利を引き寄せた。今日28日の決勝は小高工を下して7連覇王手の聖光学院が相手。今大会5試合で貫いてきた必勝リレーで10年ぶり8度目の甲子園をつかみ取る。

 大和田がド迫力ピッチングでフィニッシュした。打線の援護を受けて8-2で迎えた最終回。浮き上がるようなストレートで3者三振斬り。最後の1球も138キロをマークした。両手で派手なガッツポーズ。「真っすぐ決めてやろう、最高のボールを投げよう、と」。日大東北の2年生右腕は4回2/3を3安打6三振で0封した。

 先発のエース山中は4回まで無失点も、5回に2安打などで2点を失い降板した。「大和田が抑えてくれたので、後ろをしっかり守って点も取って楽にしようと思いました」と、マウンドから左翼に移って2二塁打を含む4打数3安打と、バットで後輩を後押した。

 球威のある山中と最速145キロの大和田。新チームから左右2枚看板で戦ってきた。今大会も5試合全てを山中-大和田のリレーで勝ち上がった。タイプの違う2人だが、共通の弱点が股関節の硬さだった。「和式のトイレでしゃがめない」(大和田)ほどだった2人に中村猛安監督(34)は冬場、徹底したストレッチを課してきた。学校でも家でも時間があればストレッチを続けた大和田は「コントロールも球速も上がりました」。柔軟性を増した下半身に支えられ、139キロだった球速が春以降140キロを超えた。山中の球威も一段とアップしたことで継投策はすっかり定番になった。

 今日28日の決勝では聖光学院に挑む。春の準々決勝で1-3と敗れた相手だ。春は山中が1-2の8回無死満塁から押し出しで追加点を許したところでスイッチ。大和田が後続3人を抑え込んだ。「1-2から逆転に持っていきたかったんですが(継投が)難しかった」という中村監督も、今度はきっちり継投のタイミングを見定めるはずだ。

 先発予定の山中は「絶対ゼロに抑えます」と宣言。大和田は「園部さんと真っ向勝負したいです」と対決を心待ちにする。2人が王者をストップすれば、8度目の甲子園に手が届く。【高場泉穂】