<高校野球兵庫大会:西脇工3-2東洋大姫路>◇28日◇決勝◇明石トーカロ

 西脇工(兵庫)が、劇的なサヨナラ劇で春夏通じて初の甲子園出場を決めた。

 2-2の9回裏2死満塁。1番今井哲也外野手(3年)は、2ストライクからの3球目に反応した。無心で放った打球は、二塁手と右翼手の間にふらふらと上がった。飛びつく東洋大姫路・西田紘貴二塁手(2年)の先に球が落ちるのを確認すると、一塁コーチと抱き合った。「うれしすぎて涙がでました」。執念の一打で、甲子園をたぐり寄せた。

 昨秋、今春の県大会は3回戦で敗退、夏も過去最高8強の「無印」校が、激戦兵庫の頂点に立った。象徴するのがエース翁田(おうた)勝基投手(3年)だ。全7試合をほぼ1人で投げ抜いて、63回1/3を16失点。木谷忠弘監督(40)は「準々決勝から、指導者として胸が苦しくなった。よく投げてくれました」と感謝した。

 翁田の急成長がチームの力に直結した。源は全国高校駅伝最多8度の優勝を誇る同校陸上部にある。チームは冬場、陸上部の400メートルトラックを使い、チームで1日25周の走り込みを行った。その積み重ねが夏に花開いた。翁田は「兵庫の代表として恥じないピッチングをしたい」と言い切った。陸上部に負けない強固なたすきをつないで「無印」軍団が甲子園に乗り込む。

 ◆西脇工

 1963年(昭38)創立の県立校。野球部も同年創部。部員数81人。機械科、電気科、工業化学科、情報・繊維科、総合技術科の5つの専門科がある。生徒数は713人(女子156人)。甲子園は春夏通じて初出場。陸上競技部男子は全国高校駅伝に25回出場し、8度の優勝。主なOBはシドニー五輪女子マラソン代表山口衛里。所在地は西脇市野村町1790。藤本圭悟校長。