<高校野球愛知大会:愛工大名電2-1愛知黎明>◇7月31日◇決勝◇岡崎市民

 愛工大名電が「AKB方式」で2年連続11度目の夏の甲子園出場を決めた。昨秋県大会3回戦で敗れた愛知黎明(当時の校名は弥富)に雪辱。2-1で競り勝った。

 ベンチの白板には書道の達人でもある倉野光生監督(54)が書き込んだ「AMB47+5」という“合言葉”。愛(A)工大名(M)電とベースボールの(B)、47は部員数で+5は女子マネジャー数を意味する。あのイチローも輩出し、全国制覇の経験もある強豪はAKBグループばりの手法で強くなった。

 指揮官は胴上げ後、まるで敏腕プロデューサーばりの笑みでこう言った。「どうやって精神力を鍛え選手層を厚くするか考えた時、アキバのアイドルグループが思い浮かんだんです。彼女たちは、センターを激しく争う中で次々とスターが出てくる。ウチもまねしようと思いました」。

 春の県大会はベンチ入りメンバーと背番号をチーム内の「総選挙」で決めた。今夏も、監督は4番を「センター」と位置付け、試合前夜に候補の5人からクジ引きして決めた。結局、全6試合で5人が4番を打った。この日の4番、大島優子推しの中野良紀内野手(3年)は「チーム内で競争し合えるのが大きい」。これが189チームの激戦区・愛知の頂点に立つ原動力になった。

 選手が打席に入ると響く応援歌もほとんどAKB48のものだった。切符獲得は「フライングゲット」とはいかず、全地方大会の最終日となったが、聖地・甲子園でもセンターを務めることができる看板チームが名乗りを上げた。【八反誠】

 ◆愛工大名電

 1912年(大元)創立の私立校。野球部は55年に創部。甲子園は夏11度目、春は9度出場。05年春に中日堂上直を擁し全国制覇。主なOBはヤンキース・イチロー、元西武工藤、中日山崎ら。所在地は名古屋市千種区若水3の2の12。久保芳孝校長。◆Vへの足跡◆3回戦8-1東郷4回戦9-1豊田西5回戦6-5明和準々決勝5-0春日丘準決勝8-1中部大第一決勝2-1愛知黎明