<全国高校野球選手権:横浜7-1丸亀>◇13日◇2回戦

 横浜(神奈川)の4番高浜祐仁内野手(2年)が、豪快な甲子園初本塁打で勝利に導いた。3-0の5回に3ランを放ち、5打数5安打の3番浅間大基外野手(2年)と打線をけん引。丸亀(香川)に快勝した。

 憧れの舞台でちょっぴり兄を超えた。5回1死二、三塁。高浜は内角に直球が来ると確信していた。「ビデオを見てインコースを攻めてくると思った」。読み通りの127キロの高めの直球を腕をたたんで引っ張った。高校通算22本目となる打球は左翼席に届いた。念願の本塁打に「少しは(兄の)上に行ったかな。夢の舞台で打ててうれしい」と笑顔がはじけた。

 兄卓也に追いつくために福岡から横浜へ入学した。ロッテの内野手の兄は、06年にセンバツを制した際の主軸。当時9歳だった高浜は全試合スタンドから声援を送った。中学時代に通算30発以上を放つ長距離砲に成長。大阪桐蔭やPL学園といった強豪を目指した時期もあったが、兄と同じユニホームを選んだ。この日、目標だった兄が打てなかった甲子園での1発を放ち「小さい頃の夢が果たせて良かった」と喜びを爆発させた。

 父晋一さん(51)の予言も的中した。野球を始めた小学1年時は兄に憧れて左打ちだったが、「これからは左投手が増えて右打者が有利になる」と小学3年で右打ちに変えさせた。神奈川県大会準々決勝では桐光学園・松井裕樹投手(3年)からバックスクリーン弾を放った。この日も丸亀の左腕、宮崎のクロスファイアを力強く打ち返した。

 宝物のバットも力をくれた。日本ハム中田が憧れの打者。06年夏に兄がいる横浜と対戦し、バックスクリーンへ推定140メートルの特大弾を放ったのを見てファンになった。その中田から兄経由で中学3年時にバットをもらった。宝物は甲子園にも持ち込み、素振りをしてフォームを確認した。

 今大会はここまで23本の本塁打が飛び交っている。それだけに「みんな打っているのに負けたくない。あと3本は打って高校通算を25本にしたい」。目指すは兄がつかめなかった深紅の優勝旗。横浜の大砲が勝利へのアーチをかける。【島根純】

 ◆高浜祐仁(たかはま・ゆうと)1996年(平8)8月8日、佐賀市生まれ。小1で野球を始める。福岡・金田中では「飯塚ライジングスターボーイズ」に所属し、中学3年で全国優勝。右投げ右打ち。50メートル6秒5。遠投95メートル。182センチ、82キロ。家族は両親と姉、兄。