<IBAF18UW杯:日本10-0キューバ>◇6日◇予選2次ラウンド◇台湾・台中

 安楽で初の世界一に王手をかけた。予選1次ラウンドA組1位の高校日本代表が同B組2位のキューバと対戦。先発の済美・安楽智大投手(2年)が8回10奪三振で無失点に抑えた。2回までに4安打と不安な立ち上がりも、3回から一変。大阪桐蔭・森友哉主将(3年)がベースから3メートル下がり捕球する投球練習で直球の伸びが復活。4回1死から6連続三振を奪う快投を演じた。8回コールドで決勝進出を決め、今日7日は同じく決勝進出を決めた米国と対戦する。

 3回から安楽が明らかに変わった。外角への直球に強豪キューバ打線が手も足も出ない。4回1死。カウント1ボール2ストライクからの4球目。力みのないフォームから投じた142キロ直球が、大阪桐蔭・森友が外いっぱいに構えたミットに「パシン!」という音とともに吸い込まれた。「森さんのリードが変わり、腕が振れるようになりました」。ここから6連続三振。そのうち見逃しで4三振を奪った。直球に球威が戻ってきた証拠だった。

 全ては内助の功だった。森友が3回から、イニング間の投球練習で本塁より3メートル後ろに下がり、捕球した。1、2回にいずれも2安打ずつされる苦しい展開で、ベースを越える感覚をつけることで、垂れ気味だった直球の伸びを修正した。森友は「気持ちが入りすぎて棒球になっていた。体全体で投げさせて、8割くらいの感覚でやることを意識させた。大阪桐蔭でもやっている練習です」と立ち直りに笑顔を見せた。

 安楽は今夏の地方大会前から、力みのないフォームを習得することを意識していた。左足を真っすぐ上げ、下半身をより使うよう意識。上半身だけで投げていた春先と違い、6月には全身で投げられる新フォームを習得した。「低めの伸びはいい。下半身が疲れにくいというか勢いがついたフォームになると思う」と手応えを感じていた。その感覚を、森友が呼び起こしてくれた。

 リズムの良い投球は攻撃にも好影響を与えた。12球で終えた8回裏には打線が爆発し、一挙6得点。コールド勝ちで、04年以来の決勝へと導いた。安楽はこれで今大会3試合18回を投げて、無四球無失点、27奪三振と、その力を世界に見せつけた。「ここまできたら、全勝で世界一を取りたい。最後は世界一で終わりたい」と胸を張った。【島根純】

 ◆キューバを完封

 日本がキューバに完封勝ち。社会人やプロのキューバ戦では過去に09年WBCの2試合など計5度の完封勝ちがあり、このうち1人の投手が完封したのは91年6月1日の日本・キューバ選手権(千葉マリン)で小池秀郎(松下電器)が被安打6、12奪三振、スコア12-0で勝った例がある。