<秋季高校野球群馬大会:太田工4-3前橋育英>◇10日◇2回戦

 甲子園V腕が初戦敗退し、来春センバツ出場が絶望的になった。今夏の全国選手権を制した前橋育英が太田工に惜敗した。1-3の4回から3番手で登板したエース高橋光成投手(2年)は、残る5回を5安打1失点と精彩を欠いた。18UW杯(台湾)の日本代表として7日の米国戦に救援登板して以来のマウンド。9日に帰国したばかりの過密スケジュールの中での緊急登板で、結果を出せなかった。

 高橋光は試合後、「疲れとかあったかもですけど、言い訳になるので」と唇を強くかみしめた。

 台湾から帰国した前日9日は、午後10時30分に学校の寮に到着した。片付けを終えて床に就いたのは深夜0時過ぎだった。午前9時30分開始の試合前、荒井直樹監督(49)から「状況によっては行くぞ」と言われ、3回から肩を作り始めたが、表情に余裕はなかった。マウンドに上がっても時折、イライラした表情を浮かべた。6回1死三塁で真ん中スライダーはキレがなく、左前に運ばれた。決定的な4点目を失った。

 来春センバツにつながる秋季大会の初戦で敗れたため、甲子園夏春連続出場は絶望的となった。荒井監督は「(高橋)光成は疲れもあった中でよくやってくれた。冬場走り込んで、夏また頑張りたい」と話した。

 日本代表として経験したことを、ひと冬かけて自分のものにする。桐光学園・松井裕樹投手(3年)のスライダー。同部屋だった済美・安楽智大投手(2年)がみせたベネズエラ戦の16奪三振。そして自身が猛省した米国戦で浴びたランニングホームラン。高橋光は「台湾で見たものはすぐにはいかせるものではない。これからです!」。歩みは止めない。【栗田尚樹】