<秋季高校野球岩手大会:盛岡大付1-0一関学院>◇22日◇3位決定戦◇岩手県営

 盛岡大付が一関学院に延長10回の末にサヨナラ勝ちし、2年連続15度目の東北大会(10月11日開幕、岩手)出場を決めた。右腕エースの松本裕樹主将(2年)が、4安打完封した。

 主将としての、エースとしての意地だった。打線の援護がなくとも、盛岡大付・松本は表情一つ変えずに凡打の山を築いていく。「低めに決まったのが良かった。昨日投げていた分、落ち着いて投げられた」。2回以降は三塁を踏ませず、無四球の107球で延長10回までゼロを並べ続けた。

 志願の連投だった。前日21日の久慈工との準決勝。延長13回179球の熱投も実らず、1-2のサヨナラ負けを喫した。寮に戻ると、関口清治監督(36)に呼ばれた。「明日、いくのか」。「いきます。東北大会も5試合、全部投げます」。体のケアも入念にし、東北大会出場をかけた決戦に備えた。夏の岩手大会準々決勝では、延長15回引き分けを経験。そこで203球を投じ、翌日の再試合にもリリーフ登板したタフネスは「今年の夏に比べれば良い」と事もなげに言った。

 立場が、才能豊かな右腕を変えた。新チームになり、人生初の主将に任命された。関口監督は言う。陰でランニングしているのを「近所の人が見て『松本君が走ってたよ』という話を聞く」。1年春から主力の松本。経験の豊富さゆえ、周囲のミスにいら立つこともあったが「エラーは普通にあること」と今は思える。

 あと3キロと迫った「最速150キロ」という目標よりも、今はチームの勝利が最優先。打撃にも非凡なものを持つ逸材が、投打でチームをけん引する。【今井恵太】