<東京国体高校野球:鳴門11-1花巻東>◇9月30日◇2回戦◇八王子市民

 花巻東(岩手)の岸里亮佑(りょうすけ)投手兼外野手(3年)が、高校最後のマウンドで自己最速の146キロをたたき出した。チームは夏の甲子園準々決勝で破った鳴門(徳島)に大敗したが、プロ志望届を提出している岸里がチーム3安打中2安打を放ち、俊足も披露するなど運動能力の高さを見せつけた。

 花巻東・岸里が高校ラストゲームで輝きを放った。3番、左翼でスタメンも4回途中、6点目を奪われたところで3番手としてマウンドへ。この回に1安打と失策で1失点したが、5回2死から鳴門の3番河野への4球目直球が、自己最速を1キロ上回る146キロを計測して、球場をざわつかせた。

 岸里自身は「甲子園と一緒でチームが勝てればと思っていたので」と試合が終わるまで更新に気付かず。1回2/3で2安打、自責点0と好投しながら「抑えたけど流れを持ってくるピッチングができなかった」と敗戦を悔しがった。

 バットと足でも可能性を感じさせた。1回2死から中前に運ぶと「打球を見て行けると思ったので」と、そのまま二塁を陥れた。そのスピードに客席から拍手が自然発生した。10点差をつけられた9回裏2死からも快音を響かせる中前打。「最後の打者になりたくなかったんで」と意地を見せた。

 強肩強打の外野手ながら、145キロの速球を持ち、50メートル5秒9の俊足で盗塁も決められる万能タイプとして注目された。夏の岩手大会での登板はなかったが、甲子園には背番号1を背負って出場。3回戦の済美(愛媛)戦に4番手で初登板(1回1/3)も、安楽に3ランを浴びるホロ苦いマウンドになった。9月上旬にプロ志望届を提出した際は「野手でやっていきたい」と明言。それだけに高校生活を締めくくる活躍に佐々木洋監督(38)も「いい最後だった」とたたえた。

 夏以降は木製バットをひたすら振り込んできた。「ここまでやってきたことに自信を持って臨みたい」と岸里。新たなチャレンジを夢見ながら24日のドラフト会議を待つ。【高場泉穂】

 ◆岸里亮佑(きしさと・りょうすけ)1995年(平7)4月3日、岩手県久慈市生まれ。長内中では軟式野球部に所属した。花巻東では1年秋からベンチ入り。今年春の甲子園は故障で出場機会がなかったが、夏は背番号1で出場して準々決勝の鳴門戦ではバックスクリーンに高校通算32号の2ランを放った。181センチ、75キロ。右投げ左打ち。家族は両親、姉。