<高校野球秋季東北大会:八戸学院光星13-2東陵>◇18日◇決勝◇岩手県営

 八戸学院光星(青森2位)が東陵(宮城2位)に圧勝し、2年ぶり4度目の優勝を飾った。1番の北條裕之内野手(2年)が3ランを含む6打数4安打5打点で、チーム長短14安打の起爆剤になった。今大会4試合全てで初回に安打で出塁するなど5割の高打率を引っ提げ、兄史也(現阪神)らが2年前に制した明治神宮大会(11月16日開幕、神宮)、そして来春のセンバツ(3月21日開幕、甲子園)に乗り込む。

 春夏と甲子園出場を逃した苦しい1年を乗り越え、光星が2年ぶりに東北王座に返り咲いた。勝利の瞬間、控えの選手たちがガッツポーズでベンチを飛び出すと、最後の守備を無失点で終わらせたナインと笑顔でお互いをたたえ合った。仲井宗基監督(43)は「苦しい時期もありましたけど、校名が代わった年に勝てて良かった」。14安打13点。新時代を予感させる圧倒的な勝利だった。

 北條が先制パンチを見舞った。先頭打者として4球目の変化球を左翼線に二塁打にし、犠打で三塁へ。3番深江大晟外野手(2年)の犠飛で本塁へ滑り込み、あっという間に先制点を奪った。これで県大会決勝から5試合連続の初回出塁。17日の花巻東との準決勝以外の4試合はすべてチームで最初のホームを踏んだ。春、夏は5番を打ったが、秋から1年ぶりの1番に。仲井監督は「日頃、最初の一振りでプレッシャーをかけるよう言っていて、ものの見事に実践してくれた」と感嘆。北條も「自分が出たら絶対点に絡みます」と自信たっぷりに話した。

 昨夏まで3季連続甲子園準優勝を果たした兄史也を超えるために同じ道を選んだ。昨秋も1番遊撃で東北大会に挑んだが、準々決勝の酒田南戦で7-0から14点を失う逆転負け。屈辱のきっかけは北條のエラーだった。「監督に、チームの中で一番気持ちが弱いと言われた。なにくそ、やったろ、と思った」。

 以来、ダッシュや声出しなど基本的なことに懸命に取り組み、メンタルを鍛えてきた。「東北大会に来て気持ちが強くなった」。“なにくそ魂”で4試合11安打、2本塁打7打点と打ちまくった。準決勝後には兄から「よくやった。神宮、行けよ」とメールが届いた。北條は「兄には打撃もパワーも守備もまだまだかなわないけど、甲子園で兄よりいい結果が出せたら」。もっと体を鍛えて念願の神宮大会、甲子園の舞台で兄超えを目指す。【高場泉穂】

 ◆北條裕之(ほうじょう・ひろゆき)1996年(平8)11月9日、堺市生まれ。幼稚園から美木多キングスでソフトボールを始める。美木多中では硬式のオール狭山ボーイズに所属。光星では1年春の東北大会からベンチ入りも、同夏の甲子園はベンチ外。同秋からレギュラー。175センチ、70キロ。右投げ右打ち。高校通算13本塁打。家族は両親、兄2人、血液型O。