<センバツ高校野球:甲子園練習>◇17日

 第86回選抜高校野球(21日開幕、甲子園)に出場する八戸学院光星(青森)が、甲子園練習に臨んだ。北條裕之内野手(3年)は、兄史也(19=阪神)が12年夏に打ったバックスクリーン弾を思い出し、自分も結果を残すとあらためて誓った。

 兄の背中を追いかけてきた北條が、やっと甲子園に立った。打撃練習はなかったが、実際に右打席に立ち浮かんだのは12年夏の準決勝、兄が2打席連続で打ったバックスクリーン弾だった。「やっぱり考えました。でもバッターボックスから見たら意外と近いな、と」。ノックでは、兄から「捕りやすい」と教えられていた土の感覚も確認。「バウンド、イレギュラーが他の球場とは違う。捕りやすい」と手応えを感じていた。

 昨秋東北大会では「1番遊撃」として4戦全てで初回先頭出塁。打率5割の成績で優勝に導いた。だが、続く神宮大会初戦今治西(愛媛)では無安打2失策。「全国は甘くなかった」と自信をなくし、さらに年明けには仲井宗基監督(43)から遊撃から三塁への変更を告げられた。それでもしばらく守備のミスが相次ぎ、打撃でもレフト方向にしか打てない状況が続いた。

 だが、本番を前に復調しつつある。15日の県和歌山商との練習試合では初回で初球を中越えに運び二塁打。その回だけで7得点の口火となった。「1回の1球から大事にする」。甲子園でも先制パンチで打線を勢いづけるつもりだ。三塁の守備もこなれ、この日も軽快に打球をさばいた。「いつも通りの感覚でやれば大丈夫。自信をもってやっていきたい」。悪いイメージはすっかり取り払った。

 プロ選手を夢見る北條にとって、甲子園は自分を売る場所だ。この日も「このセンバツが進路に大きく関わる」と口にした。兄と比べられるのも覚悟の上。「攻めて攻めて攻めまくる」。チームのためにも、自分のためにも大事な一戦へ、聖地で気持ちを新たにした。【高場泉穂】