<センバツ気になリスト(1)小山台・伊藤優輔=3年>

 センバツで気になる人はだれ?

 第86回選抜高校野球大会の甲子園練習が始まり、21日から12日間(休養日1日を含む)の日程で開幕する。担当記者が今大会話題の人物をピックアップし、「気になリスト」として3回連載します。第1回は21世紀枠で、都立校から初めてセンバツに乗り込む小山台(こやまだい=東京)の伊藤優輔主将(3年)。菅直人元首相らが卒業した名門進学校は、“肉食系エース”が歴史的勝利のカギを握っている。

 落ち着いたマウンドさばきが印象的な主将兼エースの伊藤だが、実はガツガツした“肉食系”だ。

 通学かばんには、容量2リットルの食品保存容器が入っている。高2から使用し始め、弁当箱に利用する。母に頼んで必ず入れてもらうのはご飯2合と卵。そして、欠かせないのが豚、鶏などの肉料理だ。「もう少し体を大きくしたいと思ってタンパク質を意識して取っています。卵と肉は必ず食べます」とセンバツに教科書を持参する文武両道校らしく、“肉食”の理由を明解に語った。「ドカ弁」効果で、体重は3キロほど増えて現在は71キロ。今春の練習試合解禁後、最速140キロに届いた直球同様に、“大台”に乗った。

 あえて、都立校で勝負した。尾久八幡中時代はクラブチームにも在籍し、投手で都大会優勝の実績を持つ。強豪私学に進むことも可能だったが、その考えはなかった。「親の勧めもあって最初から都立校に進むことしか考えていませんでした。甲子園を強く意識し始めたのも高校に入ってからです」。文武両道にあこがれ、中2から通い始めた塾のおかげもあり、現役で2ケタの国公立大合格者を出す進学校の門をくぐった。

 新チームになり、主将を任されてからは積極的にチームメートに声をかけるようになった。「試合に出ていたのは自分だけだったので、経験を伝えようと思いました」と責任感は強い。すでに好投手として知られる存在で、日本ハムの今成スカウトも「野球センスがあり、将来が楽しみ」と注目する。現時点では大学進学を希望する伊藤だが、「野球で大学に行けたらいいですね。その後プロを目指せれば」と夢は大きい。その前に都立校初出場となったセンバツで、存在感を見せつける。【和田美保】

 ◆伊藤優輔(いとう・ゆうすけ)1997年(平9)1月14日、東京都生まれ。小3から野球を始め、尾久八幡中では都大会出場。クラブチームの荒川ウェーブに在籍し3年夏に都大会優勝。Kボール都大会も優勝し、関東大会4強。15日には大東(島根)との練習試合で自己最速の140キロをマーク。カーブ、スライダー、スプリットも操る。178センチ、71キロ。家族は両親。右投げ右打ち。