昨春の甲子園に21世紀枠で出場した遠軽に今夏、屋内練習場が誕生する。今月末に着工され、高さ8メートル、広さ20メートル×30メートルで総工費は約4500万円。学校グラウンドから徒歩1分の隣接地に建設される。佐藤貴之監督(42)は「ありがたい。マシンを6台持ち込んで打ち込みたい」と、完成後の練習を思い描く。

 きっかけは2500万円もの寄付金だった。東京で会社経営の同校OB片平俊治さんが「野球部の室内練習場をつくってほしい」と希望し、「遠軽町ふるさと寄付金」という形で寄付。そこに、昨年のセンバツ出場時に野球部後援会が集めた寄付の余剰金の一部を上乗せした。施行担当の野球部賛助会、矢木優会長は「冬でも内野ノックぐらいは十分にできる大きさになる」と話した。

 私立強豪校に勝るとも劣らない600平方メートルの施設だ。壁には、サッカーW杯の会場などにも採用され、「寿命が長い」などの特性があるフッ素フィルムを使用。床には約400万円でクッション性に優れた人工芝が張られ、新型打撃用マシンも用意される。日本最北の甲子園出場校にとって念願の環境となる。

 これまで冬期間、ボールを使った練習時は、バスで20キロ以上離れた丸瀬布の屋内練習場に移動してきた。佐藤監督は「屋内練習場ができても丸瀬布の施設との併用」とするが、来冬からは移動時間を短縮、より長く技術練習に取り組める。完成は夏の甲子園直前の8月を予定する。

 

 ◆主な公立校の屋内練習場

 12年に21世紀枠でセンバツ出場の女満別は、協賛金の余剰約1200万円を利用。幅12・6メートル、奥行き45メートルのハウスを建設し、同年9月から大空町内の小中学生と一緒に使用する。今春の21世紀枠候補校だった天塩は、町が約800万円をかけて旧振老小学校体育館を室内練習場に改修。こちらも地元のクラブチームと交代で利用している。