<高校野球春季東海大会:日大三島5-4いなべ総合学園>◇24日◇準決勝◇愛知・小牧市民球場

 日大三島(静岡1位)が4度目の挑戦で、初の東海制覇に王手をかけた。いなべ総合学園(三重2位)に4点をリードされたが逆転勝ち。右翼で先発し、リリーフした小沢怜史(2年)の投打にわたる活躍で、過去3戦全敗だった「準決勝の壁」を突破した。今日25日の決勝で三重(三重1位)と対戦する。

 1回戦で活躍した兄に続き、準決勝では弟が勝利に導いた。4回までに4点を追う展開となり小沢怜が5回からマウンドへ。5、6回と3者凡退に仕留め流れを引き寄せると、6回裏1死二塁から中泉圭祐の適時打、大島惇平(ともに3年)の2点本塁打で1点差に詰め寄る。

 そして8回裏2死二、三塁から小沢怜が逆転2点打を放った。「ストレートが2球続いたので、ストレートを狙った」。相手送球がそれる間に二塁を陥れ、塁上で大きく右手を振り上げた。「二塁走者のスタートもよかったので点が入ると思った」と振り返った。

 投手としても兄の拓馬、この日先発した左腕の湯川大生(3年)に匹敵する能力を持つ。公式戦では4月5日の地区大会吉原戦以来の登板だった。小沢怜は「兄とお互いにライバル心を持って高め合えれば」と話す。打撃を買われ野手で出場しているが、投手の能力はプロも認めるほどだ。

 最後のアウトも小沢怜だった。肩も温まった小沢怜は9回は右翼へ。2死二塁から右前打を打たれ同点を狙う走者が本塁を狙ったが、矢のような返球でタッチアウト。三塁側にそれたが「走者の走る位置に行ったので、いいところに行け、と思った」という。4度目の挑戦で準決勝の壁を突破した瞬間だった。

 決勝は昨秋東海王者の三重と対戦する。小沢怜は「東海大会でも自分の力が通用するということが分かった」と自信を深めた。春秋通じて初の東海王者へあと1勝。優勝への道筋を小沢怜が築いた。【加納慎也】