<高校野球春季東海大会:三重7-6日大三島>◇25日◇決勝◇小牧市民球場

 日大三島(静岡1位)は昨秋東海王者の三重(三重1位)に敗れ、初優勝を逃した。初回に先頭打者本塁打などで3点を失うが、中盤から反撃。2点を追う最終回も1点を返し、なお1死満塁と攻めたが連続三振に封じられた。それでも過去最高の準優勝だ。強豪との対戦を通じて粘り強さを身につけた日大三島は、第1シードとして夏の大会に臨む。

 準優勝の表彰式では硬い表情だったが、日大三島ナインはそれぞれの手応えを口にした。川口剛監督(36)は「以前ならリードされると焦ってしまうのに、粘り強くなった」と成長に驚くほどだった。

 5回を終えて4-4。6、7回で3失点したが8回に中泉圭祐(3年)、9回には途中出場の小鹿智良(2年)が適時打を放った。それも今春センバツに出場した今井重太朗投手(3年)をとらえた。

 今井との最初の打席は三振に倒れた中泉は「対戦できてうれしくて舞い上がった」と笑顔だった。最後は2番の高田亮真(3年)が三振に倒れ試合終了。中泉は「9回も打席に立ちたかったけど、(適時打は)低めをうまくひろえた」と納得の表情だった。

 3安打と気を吐いた主将の山崎裕生(3年)は「打席で余裕があった。もともと左腕は得意なので」と5回に今井から適時打。9回は無死二、三塁で遊ゴロに倒れ「ボール球に手を出した」と悔やんだが甲子園までの道のりを実感した。「これなら行ける」。攻撃の粘りに加え投手陣も山崎のリードに応えた。「もっと打たれるかと思ったけど」と山崎は収穫の大きさを口にした。

 課題はもちろんある。6回には失策で2失点。川口監督は「あと1点届かなかったところですかね」と振り返った。5回から弟の怜史(2年)を救援した小沢拓馬(3年)も「強い打球を打たれた自分が悪い」と反省点が明確だ。山崎も「油断する連中なんで。引き締めてやるべきことを、自信をもって戦えるようにしたい」と夏の勝負を見据えた。【加納慎也】