<高校野球春季全道大会:北照4-3東海大四>◇1日◇決勝◇札幌円山

 北照が春9度の優勝を誇る東海大四を下し、9年ぶり4度目の優勝を果たした。2回裏に向井敬祐一塁手(3年)の2ランで追い付くと、5回裏に4番土門愛大(かなた)右翼手(3年)が勝ち越しの2点適時打。2試合連続で4番が決勝打、守ってはエース斎藤綱記投手(3年)が7回から無失点救援で逃げ切った。投打に勝負強さを取り戻した春。2年連続の夏甲子園出場へ向け弾みをつけた。

 苦しいときは、4番が打って、エースが抑える。昨秋の全道大会で1回戦敗退し、未熟さをかみしめてから約8カ月。高校野球の王道とも言えるチーム力で、春を制した。9回表2死二塁。東海大四の4番阿部佳志(けいし)一塁手(3年)を空振り三振に仕留め、拳を天に突き上げたエースで主将の斎藤は「4回勝つことが出来て、夏へつながる自信になった」とチームの思いを代弁した。

 逆転勝利のシナリオは完璧だった。2回、向井の同点2ランで試合を振り出しに戻すと、5回裏2死満塁で打席には土門。準決勝で決勝アーチを放った4番が、今度は左翼線へ勝ち越しの2点適時打。一塁上でガッツポーズした土門は「つまったけれど抜けてくれて良かった」と、にっこり。1点差に詰め寄られた7回からはエース斎藤が満を持して登場し、得点圏に走者を進めながらも、最小リードを守った。

 エース斎藤が本調子ではない中、勝負強さを取り戻した打線がチームを引っ張った。核は、もちろん土門だ。1年春からベンチ入りし「誰よりも経験がある」との自負がある。1回戦の後、ミーティング直後に激しい腹痛に襲われ、食事も取れずに体重は2キロ減。「緊張もあったと思うし、気温の急激な変化もあった。体調が良くなったのは一昨日(5月30日)ぐらい」。繊細だがスイングは思い切り良く豪快だ。回復後の準決勝で2安打1打点、決勝では4打数4安打2打点で、4番のプライドを守った。

 道大会120勝目を優勝で飾った河上敬也監督(55)は「技術的な部分では(春夏連続で甲子園に出場した)昨年のチームに並んだと、選手たちに伝えました」と、今大会で成長を見せた選手らに目を細める。あとは、完成を待つだけ。2年連続の夏の甲子園へ向け、視界は良好だ。【中島宙恵】