<高校野球春季東北大会:盛岡大付2-1聖光学院>◇6日◇2回戦◇秋田市・こまちスタジアム

 再現勝利だ!

 盛岡大付(岩手)が聖光学院(福島)にサヨナラ勝ちした。エース右腕松本裕樹投手(3年)が7安打1失点完投し、9回裏に高橋涼内野手(3年)がサヨナラ適時打。昨秋の東北大会初戦と同カードの因縁対決を、同じスコア、勝ち方で制した。

 8カ月前の劇的勝利がよみがえった。ホームで手を広げて待つ盛岡大付エース松本に、サヨナラ打の高橋が飛び込む。松本が「ナイスバッティング」と声をかけ、2人はがっちり抱き合った。いつものクールな表情を崩して喜ぶ松本は「(高橋が)打ってから(去年を)思い出した」。昨年10月の東北大会と同じ2-1でのサヨナラ勝ち。松本が1失点完投で、高橋が決める。まったく同じ勝ち方だった。

 松本は「速い球を打ちこんでいると聞いたので」と聖光打線に対し、最速150キロの直球に頼らず、カーブ、スライダーなど変化球を使いタイミングをずらすよう投げた。それでもリベンジに燃える相手は「くらいついてくると思った」。7安打を浴びたが、2つの併殺など味方の好守備にも助けられ、1失点で粘り強く9回を投げきった。

 そんな松本を助けたのが普段から仲のいい高橋だった。9回1死二塁。2球目の内角の変化球を狙い、力強く左中間へ運んだ。昨秋のサヨナラ打は三塁線をぎりぎり抜けていった「ラッキーヒット」。今回は「裕樹のために、絶対きれいなヒットで決めてやる」と強い気持ちを込めていた。

 4強をかけた今日7日の相手は同じ岩手県勢の盛岡三。この春の地区大会決勝で、延長13回の末4-3と苦戦しており、2日連続の激戦が予想される。高橋は「1戦1戦つなげて、一番多く試合をしたい」。夏に向け、粘って勝つ分だけ強くなる。【高場泉穂】