聖光学院(福島)は5日、盛岡大付(岩手)と福島市内で練習試合を行い、6-0、11-3でいずれも勝利した。1試合目では聖光学院の左腕石井成(3年)が先発し2安打完封。10日の福島大会開幕を前に上々の仕上がりをみせた。

 夏の大会前最後の試合で石井が迷いを吹き飛ばした。気合の入った表情で打者をにらみ、テンポ良く投げ込んでいく。直球にキレのあるチェンジアップ、ツーシームを交え、昨秋、今春と東北大会で2戦2敗の相手に2安打完封。「緊張感をもって夏の大会に近い感覚で出来た」と、最後まで集中力を切らさなかった。

 6月の東北大会が終わってから約1カ月、ストレートの精度が上がらず悩み続けた。だが「あとはやるしかない。悩んでいてもしょうがない」。開き直りが好投に結びついた。斎藤智也監督(51)も「気迫があった。あのぐらい投げてくれれば」。バックネット裏から見守った楽天上岡スカウトも「気持ちが前に出たナイスピッチング」とたたえた。

 1年秋県大会のノーヒットノーラン以来、エース格としてずっと投げ続けてきた。昨年の春夏の甲子園も経験したが「周りに助けてもらってばかりだった」と振り返る。「この夏はチームが負けないように投げたい。苦しかった分をぶつけたい」。特別な思いで最後の夏に挑む。【高場泉穂】