<高校野球茨城大会:水戸商11-0土浦工>◇7日◇1回戦◇水戸市民

 楽天大久保博元監督代行(47)の母校、水戸商が1回に8点を奪い、5回コールドで大勝した。

 水戸商が、立ち上がりの“イニングサイクル安打”で勝負を決めた。1回、先頭の小林亮丞(りょうすけ)外野手(3年)が中前打で出塁すると、続く勝村将太内野手(3年)の中越え適時二塁打で50メートル走5秒8の俊足で一気に生還し、わずか8球での先制劇。6番森島翔太郎外野手(2年)の中越え適時三塁打も飛び出し、珍記録の締めは小林だ。右翼席への3ランで打者13人8安打8得点。大先輩である楽天大久保監督代行の代名詞「アーリーワーク」ならぬ、電光石火の“アーリーパンチ”を土浦工に食らわせた。

 第1試合が雨で中断し、試合開始が遅れたが、小林の集中力は研ぎ澄まされていた。待ち時間はサブグラウンドをひたすら走って汗をかき、体を冷やさなかった。「(目標とする)巨人の村田選手が、雨の日の試合前にランニングで汗をかいて本塁打を放った話を聞いたんです」と独自の調整法について明かした。悪天候にも試合への準備を怠らないアーリーワークで、猛打を呼び込んだ。

 「デーブ2世」の呼び声もある、県内屈指のスラッガー西連地(さいれんじ)悠貴内野手(2年)も、2本の適時二塁打を放つなど3打数2安打2打点と片りんを見せた。180センチ、75キロと細身ながらリストの強さを生かした右の大砲。「1打席目はコンパクトに振り抜けましたが、2打席目は長打を狙いすぎて右肩が下がってしまいだめでした。次は欲を出さずにチームの勝ちを優先してやりたいです」と勝利に徹することを誓った。

 楽天大久保監督代行、オリックス井川を輩出した伝統校が好発進。霞ケ浦、下妻二などがひしめく激戦区。ノーシードながら最高の船出で波に乗り、このまま頂点まで上り詰める。【岡崎悠利】

 ◆水戸商

 1902年(明35)創立の県立校。硬式野球部は40年に創部。部員数は1年27人、2年17人、3年21人の計65人。春夏通算14回甲子園に出場し、最高成績は99年センバツの準優勝。OBは楽天大久保監督代行をはじめ、オリックス井川、俳優の渡辺裕之ら。所在地は水戸市新荘3の7の2。田所定美校長。

 ◆1イニング内サイクルヒット

 茨城大会では1999年(平11)から記録に残っている。水戸商は02年の常磐大高戦、03年の小川戦と2度記録している。08年に茨城キリスト-山方商以来の珍記録。