<高校野球東東京大会:関東第一13-1東京成徳大高>◇14日◇3回戦◇神宮

 ナイジェリア人の父を持つ関東第一・オコエ瑠偉外野手(2年)が、特大2ランを含む3安打3打点と大暴れした。

 「ラモス瑠偉」ならぬ「オコエ瑠偉」が、夏のダイヤモンドを駆け回った。全身バネのような肉体から、衝撃の1発が飛び出したのは2回だ。無死二塁、内角直球を振り抜き、弾丸ライナーで左中間スタンドにたたき込んだ。「当たった瞬間に行ったと思いました」と、不敵に笑った。50メートル走6秒2の俊足で、走攻守そろう超攻撃型の1番打者として、関東第一を大勝に導いた。

 父はナイジェリア人。「サッカーをやってほしかったと思います」と、名前の「瑠偉」は、当時Jリーグで大活躍していたラモス氏(現FC岐阜監督)からもらった。だが小1で野球に出会うと、以来野球一筋。悲しませてしまった父の名前は「長いから分からないんです。多分、ボニー…」と苦笑い。母早苗さん(43)に確認すると「合ってます…」と困り顔だった。細かいことなんて気にしない、規格外のスラッガーだ。

 春夏連続の甲子園を目指す夏初戦。第1打席は左前打、第3打席は適時二塁打を放ち、3安打3打点と大活躍した。今春センバツはベンチ外で、アルプススタンドで応援。「自分もここに行きたいと思いました」。悔しさを胸に結果を出し、今春の東京大会から1番を勝ち取った。

 米沢貴光監督(38)は「足の速さと長打力がある。思い切りのよさを買って1番にしてます」と評価する。オコエは試合前の朝食時にW杯決勝を観戦。1次リーグでナイジェリアから2ゴールを挙げた“宿敵”アルゼンチン・メッシの姿に勇気を感じ取った。父ボニーさんは、現在仕事で一時帰国中。行ったことはないアフリカ大陸まで、さらなる活躍のニュースを届けるつもりだ。【前田祐輔】

 ◆オコエ瑠偉(るい)1997年(平9)7月21日、東京・東村山生まれ。小1から捕手として野球を始める。小6からジャイアンツジュニアに入り、外野手に転向。東村山六中では「東村山シニア」に所属。関東第一では今春からベンチ入りし、高校通算6本塁打。家族は両親、妹。183センチ、83キロ。右投げ右打ち。