<高校野球秋田大会:角館12-1二ツ井>◇2回戦◇16日◇八橋球場

 昨年の準優勝投手、角館・相馬和輝(3年)が二ツ井との初戦に先発。3回無失点で右肩痛全快を証明し、チームも5回コールドで初優勝へスタートを切った。

 回転のいい速球が浮き上がるようにホーム上を通過する。カッターのような鋭いスライダー、抜いたカーブも1年前と変わらない。角館の右腕、昨夏の準優勝投手・相馬がよみがえった。3回45球で内野安打2本、4奪三振。最後は3者連続三振に斬って取った。「もう大丈夫です。むしろ調子がいい」と言葉も弾む。

 昨夏は6試合すべてに完投。決勝では秋田商に延長15回でサヨナラ負けした。その疲労で秋に肩に痛みが走った。県大会準決勝の大曲戦に先発も2死を取っただけで降板。東北大会3回戦の東陵(宮城)戦に3番手で登板した時は、激痛で打者1人にしか投げられなかった。冬場の2カ月はボールを握れない分走り込み、整形外科に週3日通ってマッサージやアイシングなど肩のケア方法を学んできた。

 春季県大会2回戦の能代戦で延長13回を168球、15奪三振で完投した時も痛みを感じていた。その後も地道に体の手入れを続けて最後の夏を前に最高の状態に仕上げてきた。湯沢淳監督(38)も「試合を作れていたし、いつも通りの投球だった」と評価した。

 ベストなら最速142キロの速球も練習試合で140キロまで戻り、自信も復活した。「最低目標が秋田制覇。今年こそ甲子園に行く」。相馬の目はすでに全国の舞台をにらんでいる。

 ◆相馬和輝(そうま・かずき)1996年(平8)6月28日、秋田県大仙市生まれ。小4から野球を始め、内野手。平和中では主に捕手、遊撃手。角館入学後に投手に転向して1年春からベンチ入りし、同秋からエース。172センチ、70キロ。右投げ右打ち。家族は両親と兄。