<高校野球千葉大会:流通経大柏8-1千葉北>◇17日◇3回戦◇千葉県野球場

 千葉NO・1を自負する快足を父に見せつけた。流通経大柏の諸積怜外野手(3年)が、1安打1盗塁2得点の活躍で7回コールド勝ちに導いた。元ロッテ兼司氏(45=ロッテスカウト)がスタンドで見守る中、「自分より速い人は見たことがない」という父譲りのスピードを発揮した。

 1回の第1打席、四球で出塁後に犠打で二進。後続の左前打で躊躇(ちゅうちょ)することなく一気に先制ホームを奪った。2回1死三塁の第2打席は右前適時打。楽々の二盗を決め、今度は右前打で生還。相手外野陣は定位置に守る通常の単打で2度とも二塁から生還してみせた。4回の第3打席でも四球を選び3出塁。リードオフマンとしての役割も果たした。

 大会前、危機を迎えていた。2週間前の練習試合で、左足内転筋肉離れを負った。「走れないと、俺はやばい」。生命線である足が生かせなくては話にならない。医者には「間に合うかどうか微妙」と診断されたが、毎日病院に通い電気治療を受け続けた。執念で間に合わせた。

 手負いの状態でも、存分に俊足を見せつけた。一塁到達タイムは6月にマークした3秒87(ロッテスカウト計測)が最速。父のトレードマークでもあるヘッドスライディングをすることもなく、2度も本塁に生還した。「ケガして力みなく走れるようになったからですかね。夏はアドレナリン出まくりなんで」と、笑顔で振り返った。

 スタンド観戦する父の視線は感じていた。「母と3人そろう場所でプレーできてうれしかった」。QVCマリンで両親に披露したい「1番センター諸積」の勇姿。あと2つ勝ち準々決勝まで進めば実現する。モロの走りは止まらない。【加藤雅敏】