<高校野球栃木大会:佐野日大8-1佐野>◇21日◇2回戦◇栃木県総合運動公園

 佐野日大の「スーパー1年生」が、自慢の脚力を見せつけた。五十幡(いそばた)亮汰外野手が「9番右翼」で先発出場。1-1の5回無死一塁。投前へバントを転がすと、猛然と一塁を駆け抜けた。送球がワンバウンドとなり(記録は安打と失策)、無死二、三塁と好機を広げた。続く1番竹村律生(りつき)遊撃手(3年)の中前打であっさり生還。今大会2試合目、通算3打席目での初安打は、らしい1本となった。

 昨夏、全国中学陸上で100メートル、200メートルの2冠に輝いた。陸上部からの誘いも多かったが、迷うことなく野球の道に進んだ。50メートル走は昨年から0・1秒速くなり、入学後のスポーツテストでマークした5秒6(手動)と進化は止まらない。

 続く6回1死満塁の第3打席では、外角球に体勢を崩されながらも左前に運ぶ2点適時打。「緊張しましたけど、自分が打ちたいと思っていました」と緊張気味に話す姿が初々しい。「体は小さいけど、鋭くて速い打球を打つ」と話す松本弘司監督(62)の期待に応える一打となった。

 初盗塁こそ次戦以降にお預けとなった。5月の練習試合で初めて試みた盗塁は失敗。レベルの差を痛感したが、落ち込むことはなかった。シニア時代、けん制死や盗塁死を繰り返したが、失敗を糧にしていったからだ。「2死の場面では(盗塁のサインを)『出すぞ』と監督に言われています。自分の持ち味は足なので、塁に出たら狙います」。ドラフト上位候補の左腕、田嶋大樹投手(3年)の登板はなかったが、快足ルーキーがチームの歯車として機能し始めた。【岡崎悠利】

 ◆五十幡亮汰(いそばた・りょうた)1998年(平10)11月27日生まれ。埼玉県出身。行田東フェニックスで野球を始める。長野中入学と同時に東京神宮リトルシニアに入り、中堅手。俊足と強肩が持ち味で、昨年は15歳以下の日本代表にも選出された。100メートルの自己ベストは10秒79。170センチ、58キロ。右投げ左打ち。家族は父と姉。