<高校野球岩手大会:盛岡大付5-3盛岡四>◇21日◇準々決勝◇岩手県営

 盛岡大付エース松本裕樹(3年)が一振りで劣勢をひっくり返した。2点を追う7回裏1死一、三塁。カーブを捉えたライナー性の打球は右翼へ吸い込まれた。通算53号目となる逆転3ラン。常にクールな松本も塁を回りながら小さくガッツポーズした。

 9安打3失点と苦しみながら、今夏初完投。「打たれたけど勝てたことが一番」と、勝利の瞬間も拳をぐっと握った。今秋ドラフト上位候補の松本に、5球団8人のスカウトが熱視線を送った。阪神池之上スカウト課長は「間違いない。プロで通用する逸材」と高評価。初回に1失点した直後、この日最速の145キロを計測した点も「ひょうひょうと投げながらギアチェンジができる」とたたえた。

 23日準決勝の相手は春の東北大会で敗れた盛岡三。松本は「気負わずしっかりやった結果、勝てればいい」と、静かに闘志を燃やしていた。【高場泉穂】