<高校野球福島大会:日大東北6-3光南>◇22日◇4回戦◇開成山野球場

 第1シードの日大東北は、2点を追う9回に5点を奪って光南に逆転勝利した。

 日大東北の2戦連続の9回ミラクル逆転劇は、先頭永山健太主将(3年)の中前打から始まった。7番岩城の右前打で1死一、二塁とチャンスを広げ、打者は19日の磐城戦で9回裏同点本塁打を打った遠藤拓夢(3年)。気持ちを込めるように胸に手を置き打席に入った。「打てる自信があった」と左前適時打を打ち、これで1点差に詰め寄った。

 一気に盛り上がるベンチとスタンド。続く9番遠藤裕が右飛で倒れ2死となっても勢いは止まらない。1番真部が死球で出塁し2死満塁。打ち損ねれば終わりの場面で、2番対馬幸輝(3年)は恐れず初球を狙い打ち。左中間を抜ける二塁打となり、真部まで走者3人がホームにかえると、ベンチから全員が飛び出し、抱き合い、喜びを爆発させた。

 その裏をエース右腕大和田啓亮(3年)はこの日最速の144キロを出す気迫の投球で3人で抑えきった。試合が終わると笑顔の列の中で1人泣いていた。9回完投し、8安打3失点。「申し訳ないピッチングをしてしまったので…。このチームで良かった」と感極まった。涙する大和田を、仲間が笑いながら慰めていた。もう大和田だけのチームじゃない。厳しい戦いを制した日大東北ナインの表情は自信に満ちあふれていた。【高場泉穂】