<高校野球佐賀大会:佐賀北3-2佐賀工>◇決勝◇23日◇みどりの森県営球場

 「がばい旋風」再び!

 シード校の佐賀北が延長10回、粘る佐賀工を下し、12年以来2年ぶり4度目の甲子園出場を決めた。07年の「全国制覇」をほうふつとさせる驚異の粘りで競り勝った。

 伝統を受けつぐ「がばい軍団」の佐賀北が、息詰まる死闘を制した。3-2で迎えた10回裏佐賀工2死満塁、一打サヨナラの場面。6回から好救援した佐賀北のエース右腕、福井一朗投手(3年)はフルカウントから「一番自信のあるストレートで勝負した」と、こん身の力を込め直球を投げ込んだ。

 佐賀工の山口佑介捕手(3年)を、直球で見逃し三振に仕留めた瞬間、両手を天に突きだしガッツポーズした。そこにナインがダッシュで駆け寄り歓喜の輪ができた。07年の佐賀北の全国初制覇にあこがれ進学を決めたという木下真斗外野手(3年)は「(甲子園は)1戦1戦しっかり戦い、がばい旋風を起こしたい」と声を弾ませた。島隆太朗主将(3年)も「生きてきた中で一番苦しい試合でしたが三振の瞬間、(佐賀北に)入って良かった」と喜んだ。

 苦しんだだけに喜びもひとしおだ。1回に幸先よく先制したが、5回に逆転される厳しい展開となった。だが、決勝戦まで4戦中2戦で延長戦を制した底力で6回に意地の同点。特に前日22日は、甲子園常連校の名門、佐賀商を延長11回、4-3のサヨナラ勝ちで制しており勢いに乗っていた。スタンドで観戦した07年のVメンバーの声援も力に変えた。百崎敏克監督(58)は「佐賀の代表として恥ずかしくないプレーをしたい」と意気込む。「がばい旋風」と呼ばれた07年のミラクル快進撃を再現する覚悟だ。【菊川光一】

 ◆がばい旋風

 県立校が強豪校を次々にミラクル劇で撃破。「とても」を意味する佐賀弁「がばい」から「がばい旋風」と呼ばれた。07年夏の開幕戦で福井商に2-0で甲子園初勝利を挙げ勢いづく。2回戦は宇治山田商と延長15回4-4で引き分け、再試合を9-1で勝利。3回戦は前橋商に5-2で競り勝ち、準々決勝は帝京から延長13回4-3でサヨナラ勝ち。準決勝は長崎日大に3-0、決勝は8回に逆転満塁本塁打が飛び出し、広陵に5-4で劇的勝利を収め初優勝した。

 ◆佐賀北

 1963年(昭38)に創立された男女共学の県立校。佐賀高の3校分離により誕生した。普通科に779人(女子512人)が学ぶ。野球部は63年創部で部員は63人。甲子園は夏4度目。初出場の00年は初戦で横浜に敗退したが、07年に初優勝。主な卒業生は元巨人岸川勝也、女優中越典子ら。所在地は佐賀市天祐2の6の1。田中寿校長。◆Vへの足跡◆2回戦3-2佐賀東3回戦3-1鹿島準々決勝2-0塩田工準決勝4-3佐賀商決勝3-2佐賀工