<高校野球新潟大会:帝京長岡5-1上越>◇23日◇4回戦◇長岡市悠久山球場

 4回戦2試合が行われ、8強が出そろった。

 帝京長岡のエース持田祥投手(3年)は、上越打線を3安打1点に抑え、自責0で完投。今大会3試合で30回2/3を投げ、わずか自責1という好調ぶりで、チームを6年ぶりのベスト8に導いた。今日24日、準々決勝4試合が行われる。

 勝利の雄たけびだった。9回2死一、二塁。最後の打者を遊ゴロに打ち取ると、マウンド上で持田は絶叫した。「最後は気持ちで乗り切った。自分が投げるだけだった」。4番に四球を出した直後に右のふくらはぎがつった。続く5番にも四球を許したが、気力を振り絞って投げきった。

 強気に攻めた。171センチの体を目いっぱい使い、スリークオーターの腕の振りから右打者には内角直球を、左打者には膝元にスライダーを多投した。「今日は制球が良かった。球速が出るわけでもないので、内角を攻めた。安打されるなら、ぶつけるぐらいの気持ちで」。120キロ後半の直球でていねいにコースを突き3安打に抑え、10個の三振を奪った。

 9回1失点完投で自責はゼロ。今大会3試合に登板し、30回2/3投げて自責点はわずかに1点だ。「すごい上出来」と本人も驚くほどの好調をキープしている。小学校から少林寺拳法をやり、中学時代には全国大会で10番台の好成績を収めた。野球を始めたのは中学からで、高校進学時に野球一本に絞ったが、小さいころに武術を経験したことが、今に生きている。

 「体の軸がしっかりしてやることが、投球にも生きている。演武に没頭することで集中力が身に付いた。全国大会を経験したことで、精神的に強くなった」。体の軸を意識した投球フォーム、物おじせずに内角に投げ込む精神力と集中力は、少林寺拳法仕込みの「ケンカ投法」でもあった。

 チームは6年ぶりの準々決勝に進出。順当に勝ち上がると決勝で当たる日本文理には、昨夏と今春に連敗している。「エコスタ(ベスト8以上の意味)は通過点。どんどん勝ち上がって、決勝で日本文理を倒したい」。すべては持田の右腕にかかっている。【高橋洋平】

 ◆持田祥(もちだ・しょう)1996年(平8)10月3日生まれ、長岡市出身。栖吉小、栖吉中から帝京長岡に進学。1年秋からベンチ入り。171センチ、66キロ。右投げ右打ち。

 ◆少林寺拳法

 1947年、日本において宗道臣が創始した。現在、すでに登録入会者数が170万人を超え、世界37カ国に支部を持つ。空手のような打撃系格闘技ではなく柔術のカテゴリーに属する。殴る蹴るから投げ技、関節技へのコンビネーションがある。中国・少林寺伝承の武術、少林拳との直接の関係はない。