<高校野球神奈川大会:横浜5-0立花学園>◇24日◇5回戦◇バッティングパレス相石スタジアムひらつか

 横浜の大砲がついに目覚めた。ドラフト候補の高浜祐仁内野手(3年)が、立花学園戦の7回にダメ押し2ランを放った。眠っていた長距離砲が、2年連続の頂点へギア全開だ。前日23日の4回戦(湘南)で10者連続三振を奪ったエース伊藤将司投手(3年)が今大会初先発で4安打9奪三振完封した。

 この男が打てば、やっぱり盛り上がる。横浜の4番、高浜がチームを勢いづける2ランを放つと、一塁側ベンチは拍手喝采、祝福の声が飛び交った。「打った瞬間、入ったと思いました。完璧でした」。大会4戦目で飛び出たアーチは通算32号だ。

 2点リードの7回。同じくドラフト候補の浅間大基外野手(3年)が中前打で出塁し、犠打と失策の間に1点を追加した。すでに今大会3本塁打と絶好調の1番打者が得点し、回ってきた打席。アドレナリン全開で、初球の内寄り真っすぐを振り抜いた。「ホームランだけが自分のバッティングではありませんが、浅間が目の前で3本打っているのを見て悔しかったのはありました」と、勝利を決定づける一打を左翼席へ放り込んだ。

 内角を打てた確固たる理由がある。約3週間前の練習時、仲間から「打つ時に左肩が入りすぎる」と指摘された。その後、一昨年夏のビデオを見た。桐光学園・松井裕樹投手(現楽天)から三塁打を放った時のものもあった。「あの時ぐらいが良かったので。見たら、確かに左肩が入っていなかった」。軸がぶれないように体の中心で打つことを意識すると、イメージするような打球が飛び始めた。3打席目に左翼線へ二塁打を放って感触をつかむと、4打席目で待望の1発が出た。

 かばんには、3回戦(荏田)後に両親から渡されたお守りをしのばせた。ソフトバンクが必勝祈願する筥崎宮(福岡市)のもので、昨夏の準々決勝で松井から本塁打を打った際は、母富美子さん(52)が自宅でお守りを握りしめ、応援した。「そんなに効果ないと思うんですけどね」と、高浜は苦笑いしながらも、うれしそうに手元を見つめた。【和田美保】