<高校野球北北海道大会:武修館8-5釧路工>◇24日◇決勝◇旭川スタルヒン

 武修館が創部40年目で初の甲子園切符を手にした。釧路工を破り、北北海道大会史上初の釧路対決となった決勝を制した。打線は13安打に3盗塁と足技をからめて8点を奪えば、投げては山崎永治、徳橋颯野の2年生左腕の継投で、追い上げをかわした。釧根地区からは90年夏の中標津を最後に春夏ともに甲子園出場が途絶えていたが、ついに負の歴史に終止符を打った。

 武修館が歴史の扉をこじ開けた。9回2死一塁。エース左腕、徳橋が最後の打者を遊直に打ち取った。両手を天高く上げ、雄たけびを上げる。ナインがマウンドに集まり、歓喜の輪が広がった。誰彼となく抱き合った。優勝インタビューに呼ばれた先制打の志賀は感極まり「気持ちで…」と言ったきり、涙で言葉が出てこない。夢のような瞬間だった。

 自慢の機動力を初回から発揮した。2番榎森がチーム初安打となる中前打で出塁するとすかさず盗塁。その後2死三塁となり、4番の志賀の右前打で先制した。6番岡本は三盗で揺さぶり、敵失で3点目のホームを踏んだ。3安打に2盗塁と足技をからめ、一気に3点を奪った。終盤の8回は死球をはさんでの3連打で3点を加え、勝負を決定づけた。終わってみれば13安打8得点。小林正人監督(26)は「選手は主体的に自分で考えて盗塁を狙ってくれた。成長を感じます」とたたえた。

 全員野球で勝ち上がってきた。地区から6試合全て継投。次の塁を狙う意識も高く、盗塁は13を数えた。今春からグラウンド内での移動は、全力疾走を徹底した。2打数2安打の5番中村は「最初は練習で疲れるから、全力で走るのはきついと思った。けど、そのおかげでみんなが盗塁を決められるようになったし、体力もついた」と効果を実感している。

 釧根地区から悲願の甲子園だ。同地区からは90年に中標津が出場して以来24年ぶり、釧路市内校としてはこの日対戦した釧路工の79年以来35年ぶりとなる。08、10年には21世紀枠候補校に選出されてセンバツ出場のチャンスもあったが、聖地は遠かった。前身の釧路緑ケ岡時代から指導していた種市裕友元監督(55)はスタンドから見守り「いい選手がみんな釧路から出て行ってしまってね。釧路の代表になれば甲子園に行けると思う時代がまた来てくれれば」と期待した。

 10年夏の北大会で準優勝。あと1歩届かなかった夢をかなえた。次なる目標は釧根地区悲願の夏甲子園初勝利。千葉主将は「甲子園に行くからには、チーム全員で勝利を目指す」と躍動を誓った。チーム一丸で北北海道勢3年ぶりの白星を奪いにいく。【保坂果那】

 ◆武修館

 1964年(昭39)に釧路女短大付として創立した私立校。73年に共学化し釧路短大付、91年に釧路緑ケ岡、04年から武修館に校名を変更。生徒数261人(女子102人)。野球部は75年創部。部員数38人。主なOBに競輪選手の武田豊樹。所在地は釧路市武佐5の9の1。高橋雅人校長。◆Vへの足跡◆◇釧根地区大会2回戦8-1標津代表決定戦6-3中標津◇北北海道大会1回戦4-1深川西準々決勝9-5天塩準決勝4-3旭川大高決勝8-5釧路工