<高校野球福岡大会:九州国際大付8-1西日本短大付>◇24日◇準々決勝◇北九州

 まさかの7回コールド負け。それでも、西日本短大付のドラフト候補右腕・小野郁投手(3年)は、自己最速の153キロを計測。強烈な印象を残して散った。

 九州国際大付との優勝候補同士の対決。「どこに投げても打たれる雰囲気だった」。強ければ強いほど燃えた。1点ビハインドの5回1死満塁。プロ注目の古沢勝吾内野手(3年)にフルカウントとした6球目、153キロの直球を投げ込みファウル。続く151キロが高めに外れ押し出し四球もネット裏のプロスカウト陣を驚かせた。

 「(右手薬指の)マメは大丈夫でした」と話したが、ユニホームのズボンには終盤、血がついていた。それ以上に悩ませたのが左手首の骨折だった。

 6月初旬、学校の階段でバランスを崩し、突いたはずみで左手首を骨折した。「全治3カ月って言われて、夏が終わったと思いました」。そこから高校通算25本塁打の打撃を封印。投球に専念してきた。4回2死満塁では、左手首にボルトが入った状況で今大会初めて強打して大きな右飛に倒れた。「あれが精いっぱいのスイング。このまま打たずに終わったら一生悔いが残るんで。今後は上で野球を続けたい。投手?

 野手?

 それは(球団に)お任せします」。涙が乾いた小野は、万全の体に戻しプロからの指名を待つ。【石橋隆雄】