<高校野球千葉大会:専大松戸5-2柏日体>◇25日◇準決勝◇QVCマリン

 「松戸市民48万人の悲願」まであと1勝だ。専大松戸が、2回までに5点を奪い、柏日体に快勝。初の決勝進出を決めた。初回に3点を先制すると、2回2死二、三塁で4番渡辺大樹内野手(2年)が相手の戦意をくじく2点中前打。「いい流れを作れた」とガッツポーズだ。

 渡辺は生粋の松戸っ子。野望を持って入学した。「松戸から甲子園出場校が出てないことは知っていた。自分の力で連れて行こうと」。人口40万人以上の市町村は全国に48ある(東京23区を除く)。そのうち春夏甲子園出場校を出していないのは、松戸市(48万5962人)を含め、八王子市(56万3482人)、横須賀市(42万1037人)の3市だけ。リトル、シニアなど野球環境は充実しているが、東京に隣接しているため、有望選手が流出する時期が続いていた。

 持丸修一監督(66)が07年に就任したことで風向きが変わった。茨城で異なる3校を甲子園に導いてきた「請負人」。上沢直之(20=日本ハム)ら有望株が「持丸監督の下で」と入部してくるようになり、強化は進んだ。今年を含めれば5年で4度4強進出。ついに初の決勝まで駒を進めた。「後援会や議員さんからもプレッシャーをかけられます(笑い)。大都市なんだから、行かせてやりたいよね」と、持丸監督も期待をひしひしと感じている。

 この日は、松戸市を代表する名士だった日本画家藁谷耕人(わらや・こうじん)氏(享年83)の孫、遵人内野手(3年)も好守でもり立て活躍。「駅では『今年こそ頼むぞ』と声をかけられます。期待に応えたい」と気持ちを込めた。

 一塁側スタンドはスクールカラーの緑色に染まり、カウントダウンへの大歓声がQVCマリンを包んだ。「壁だった準決を乗り越えた。決勝も打って悲願を達成したい」と渡辺。松戸の思いを背負い、今日、初甲子園に挑む。【加藤雅敏】

 ◆松戸市にある高校と今大会の成績

 千葉県高野連に加盟している松戸市内の高校は、専大松戸(決勝)松戸国際(4回戦)市松戸(3回戦)松戸(2回戦)松戸向陽(2回戦)松戸馬橋(2回戦)小金(1回戦)松戸六実(1回戦)の合計8校。松戸勢の過去最高成績は、13年専大松戸、12年松戸国際の4強。(人口は平成26年総務省住民基本台帳より。高校は、現在の所在地)