<高校野球栃木大会:作新学院7-1佐野日大>◇27日◇決勝◇宇都宮清原

 応援席へ深々と頭を下げると、こらえていた涙があふれた。佐野日大のエース田嶋大樹投手(3年)を不運が襲った。作新学院との決勝は、試合中に左脇の下を痛めて負傷降板。4強入りしたセンバツに続く2季連続の甲子園は、不本意な形で夢破れ、プロ注目の超高校級がまた1人、夏の舞台から姿を消した。

 異変は5回に起きた。先頭打者にストレートの四球。そこまで最速143キロを計測した直球が、130キロを超えるのがやっとに。この回1死二、三塁のピンチは切り抜けたものの、左腕をぶらぶらさせ天を仰ぐなど、変調は明らかだった。「3回くらいから違和感ありました。無理してでも投げたかったですが我慢できませんでした」と利き腕の激痛は、限界に達していた。

 6回も続投したが1死から連打を浴びて1-1の同点とされ、1死二塁と走者を残して降板した。大黒柱を失ったチームは一気に崩れ、この回4失点。7回にも3点を失い、試合の大勢は決した。田嶋は「エースという立場で、甲子園に連れて行けなかったことが申し訳ない」と目を真っ赤にはらした。進路は未定だが「いつかはプロでやりたいという気持ちはあります」。敗戦の悔しさを糧に、さらなる進化を誓った。【岡崎悠利】