<高校野球新潟大会:日本文理4-2関根学園>◇27日◇決勝◇ハードオフ新潟

 第1シードの日本文理は、ノーシードから勝ち上がった関根学園に先制されて苦戦。1-2で迎えた9回、小太刀緒飛(こだち・おとわ)内野手(3年)が土壇場で逆転サヨナラ3ランを放ち、劇的勝利を挙げた。同校初となる2年連続8度目の甲子園出場を決め、目標に掲げる全国制覇の挑戦権を得た。県勢の夏連続出場は、85、86年の中越以来、28年ぶりとなる。

 部員110人の思いを乗せた打球が、右翼席に突き刺さった。1点を追い掛ける9回1死一、二塁。小太刀はベルト付近にきた内角の球を無心で振り抜いた。「当たった瞬間行ったなと思った。真芯でとらえることができた。興奮して球種は思い出せない。仲間の力を借りて打てた」。3番打者の公式戦初となる逆転サヨナラ3ランで、土壇場から3季連続の聖地への切符を勝ち取った。

 苦しかった。昨秋1回戦でコールド勝ちした相手に先に2点を許した。8回まで7安打を放ちながら1点しか奪えなかった。それでも4番の池田貴将主将(3年)は逆転の手応えをつかんでいた。「フライアウトでも上からたたけていて、タイミングはあっていた。つなごうという意識は目に見えていた」。9回、先頭で9番飯塚が左前打で出塁。1死後、2番黒臺が四球で粘った。小太刀は強調した。「(前の打者が)つないでくれた。とにかく池田につなげば何かが起こると思っていた。つなぐ意識の延長線上が本塁打だった」。

 新潟との今大会初戦、大振りが目立ち散発7安打に抑えられた。試合直後から、バットを一握り短く持って、たたきつけて打つ練習を継続した。この日9安打中5本が長打で今大会チーム初の本塁打こそ出たが、6試合で67安打中51本が単打。長打を捨てコツコツつなぐ打撃で頂点に立った。

 集結した。09年の同校全国準Vを中学時代に見た県内外の有力選手が日本文理に集まった。Kボール選抜全国準Vのエース飯塚と鎌倉捕手のバッテリーは上越地区の直江津中から入学。「全国制覇が目標だった」小太刀も中学時代に栃木ヤングベースボールクラブで全国8強を2回経験し、作新学院中から越境入学してきた。

 昨春から続く県内連勝を25までのばし、全国制覇に再度挑戦する。大井道夫監督(72)は強気に宣言した。「ウチはいつも全国制覇が目標。このチームでリベンジしたい」。昨夏、今春は初戦敗退。機は熟した。先輩たちが残した夏の忘れ物を、今度こそ取りに行く。【高橋洋平】

 ◆日本文理

 1984年(昭59)創立の私立校。生徒数は948人(女子350人)。野球部は創立と同時に創部され、部員110人。甲子園は春5度、夏は今回が8度目の出場。09年夏は準優勝。主なOBは巨人高橋洸内野手。所在地は新潟県新潟市西区新通1072番地。斎藤清校長。◆Vへの足跡◆2回戦3-1新潟3回戦11-0高田北城4回戦14-2長岡工準々決勝3-2中越準決勝9-1北越決勝4-2関根学園