<高校野球福岡大会:九州国際大付16-0北筑>◇28日◇決勝◇北九州市民

 監督との最後の夏はまだ終わらない!

 九州国際大付が19安打の猛攻で北筑に完勝し、3年ぶり5度目の夏の甲子園出場を決めた。16得点は同大会決勝史上最多得点。今夏限りで退任する若生正広監督(63)は、甲子園で過去準優勝が2度。「最後は日本一に」と、一丸となったナインが全国制覇に向け、まず第1関門を突破した。

 これが全国制覇を狙う打線の破壊力だ。九州国際大付が4回までに14点。4回には4連続を含む5二塁打など打者11人攻撃で7安打7点を奪った。

 先発全員安打。ドラフト候補の主将・清水優心捕手(3年)は3安打1打点。9回には、詰まりながらもフェンス直撃の左越え二塁打を放った。同じくドラフト候補の古沢勝吾遊撃手(3年)は4回に強烈なライナーで三塁手のグラブをはじく適時二塁打。若生監督は「最短距離で振り抜くことだけをやってきた。体力にも自信があった」。大会前1カ月バットの軌道を徹底指導し、毎日腹筋と背筋を1000回続けた成果が強烈な打球となった。

 3月25日、春季大会県2回戦で完封負け。その場で若生監督の口から、この夏限りでの勇退を伝えられた。若生監督を慕って全国から集まった選手たちは涙を流した。清水は「全員が変わった」と、それまで個人が目立っていたチームが同じ方向を向いた。6月中旬の練習試合ではこの日の相手北筑に8-10で打ち負けた。そんな状態だったが、大会に入ると飯塚、福岡工大城東、最速153キロ右腕小野郁(3年)がいる西日本短大付、連覇を狙う自由ケ丘と強豪に打ち勝った。7戦で65点、7本塁打をマークした。

 若生監督は寮の風呂で、10個以上あるイスの右から2番目に必ず座る。古沢は背中を流しながら「『俺は1番ではない』って言うんです」と全国制覇への強い思いを感じた。甲子園でも打ち勝ち、若生監督を日本一で送り出す。【石橋隆雄】

 ◆九州国際大付

 1958年(昭33)私立八幡大付属として男子部が開校。89年に現校名。10年から男女共学化。普通科のみで生徒数は1750人(女子は776人)。野球部は58年創部で部員数は79人。春は2度出場し11年準優勝。夏は5度目。OBはDeNA高城俊人ら。所在地は北九州市八幡東区枝光5の9の1。伊東正和校長。◆Vへの足跡◆2回戦12-1西田川3回戦5-2飯塚4回戦6-1嘉穂東5回戦11-1福岡工大城東準々決勝8-1西日本短大付準決勝7-1自由ケ丘決勝16-0北筑