<高校野球大阪大会:大阪桐蔭6-2履正社>◇29日◇準決勝◇舞洲

 大阪桐蔭が、夏3連覇に王手をかけた。大阪大会準決勝で、選抜大会準優勝の履正社に快勝。福島孝輔投手(3年)が果敢な内角攻めと春に覚えたカットボールを有効に使い、春の全国2位校の打線を5安打2点に抑えて完投した。きょう30日は、大阪の夏3連覇を唯一果たしているPL学園(83~85年)と10年ぶりに決勝で対戦する。

 現チームの実績では、上回る相手だった。大阪桐蔭がセンバツ準優勝の履正社を、打ち破った。昨秋の近畿大会大阪府予選4回戦でコールド負けした相手を、春の府決勝で破り、夏も連破。「昨秋負けた時点で、夏一本に絞ってやってきました。センバツに出られなかった分、体力も技術もしっかり鍛えようと思った冬でしたから」。厳しい冬を乗り越えた自負が、西谷浩一監督(44)の言葉ににじんだ。

 履正社を知り尽くした大阪桐蔭ならではの決断だった。全国レベルの左打者6人を先発に並べる打線に対し、一般的には不利といわれる右横手の福島をあえてぶつけた。初回は3連打で1点を失ったが、2回以降はソロ被弾の1失点だけ。今夏ここまでチーム打率3割8分7厘の強力打線を5安打2点に抑えた福島の起用こそ、打倒・履正社へのカギだった。福島は「先発はきょう(29日)の朝に言われました」と言うが、西谷監督は「春から決めていました」と明かした。

 チームの左の好打者、峯本匠内野手(3年)の「右のサイドでも福島のカットボールは、左打者に有効ですよ」の言葉が決め手になった。春に覚えたカットボールに加え、福島は昨秋からブルペンで防具をつけた左打者に立ってもらい、内角を突く練習を地道に積んできた。「ぶつけて、打者に謝って、その繰り返しでした」。その努力をくんでの起用。普段は後攻にこだわる西谷監督が「何が何でも先取点を取る」と、試合前じゃんけんに勝って先攻を選択。先制し、福島を楽にするための決断に打線も初回5得点で応えた。

 「明日勝って初めて、秋のリベンジです」と西谷監督は4年連続の決勝をにらむ。チーム力を結集し、PL学園との決戦に臨む。【堀まどか】