<全国高校野球選手権:敦賀気比10-1春日部共栄>◇17日◇2回戦

 敦賀気比(福井)は平沼翔太投手(2年)の1失点完投で17年ぶりの16強に進出した。

 前日16日に17歳になったばかりの2年生右腕が、福井県勢夏50勝を運んだ。敦賀気比・平沼が7安打1失点で連続完投勝利を挙げた。9回2死無走者から、甲子園登板2試合目で初めて許した長打をきっかけに1失点。2試合連続完封を逃し、「相手の執念を感じましたし、自分に甘さがありました」と笑顔は封印。それでもジャスト100球の好投で、17年ぶりの夏16強にチームを導いた。

 立ち上がり、先頭・清水に初球を中前にはじき返された。だが続く佐野のバントを素早く処理して一塁走者の二進を封じ、3番を空振り三振。8回まで散発4安打の無得点に抑え込んだ。「5日間で4試合を戦う県大会はスタミナが心配だった。でも一戦勝負なら間違いなくいい投球をすると思いました」と、東哲平監督(34)の信頼は揺るがなかった。

 巨人、阪神で活躍した小林繁氏(享年57)が認めた才能だ。10年1月17日に亡くなった同氏は引退後、地元のヤングリーグ「オールスター福井」を指導していた時期があった。最後の教え子が平沼。「小学6年で体験入部した10月から1月まで、付ききりで指導していただきました」と父次郎さん(40)は思い起こす。「平沼は天才だよ。必ずプロの世界に行く投手。大事に育てなければ」と、悲運の名投手は語っていた。

 初めての甲子園で天才の片りんを見せている。3回戦の相手は、150キロ右腕の松本裕樹(3年)を擁す盛岡大付。昨年のセンバツ3回戦では3-0と快勝した。「優勝するには勝たなければならない相手です」。来秋のドラフト候補が、今秋の1位候補に全力で挑む。【堀まどか】

 ◆2試合連続2桁得点

 1回戦の坂出商戦で16得点の敦賀気比が10得点。夏の大会で2試合連続2桁得点は11年日大三が準決勝○14-4関西、決勝○11-0光星学院でマークして以来。福井県勢では初めて。