<全国高校野球選手権:聖光学院4-2佐久長聖>◇19日◇2回戦

 8年連続11度目出場の聖光学院(福島)が、4年ぶりの夏2勝で16強入りした。佐久長聖(長野)に逆転勝ちした。1点を追う2回に同点とし、4回に6番飯島翼外野手(3年)の中犠飛で勝ち越した。続く7番石垣光浩内野手(3年)も三塁打を放って追加点を奪った。右横手投げのエース船迫(ふなばさま)大雅(3年)は2失点の完投。福島県勢は夏通算30勝に到達した。

 しぶとく、泥くさく聖光学院が点を取った。1点を追う2回1死三塁。「ヒットじゃなくて、走者をかえしたい気持ち」と振り返る6番飯島の二塁ゴロの間に、三塁走者の安田光希(3年)が生還して同点にした。4回は1死一、三塁で、またも飯島に打順が回り中犠飛で勝ち越す。続く石垣に左中間への適時三塁打が飛び出したが、5回の1点も2番藤原一生(3年)の右犠飛で奪った。

 4点中、タイムリーによる得点は1点だけ。飯島は、これが今年のチームカラーと説明する。「ホームランバッターはいない。つなぐことを意識してやっている」。斎藤智也監督(51)も「点の取り方は理想的」と言った。攻撃に派手さはなくても、どんな形でもチャンスで得点する。守備は2試合連続無失策で、エース船迫の完投をもり立てた。

 斎藤監督は3日の大阪入り後、1日も休養を与えていない。例年ならメリハリをつける意味で休養日を設ける。「それが最後の甘さになったかも」と過去3年連続の2回戦敗退を反省し、練習を続けることで選手を追い込んだ。「(決勝戦の)8月25日まで強い気持ちで戦う意思表示。いい思いをさせるために甲子園に来た」と、強い口調で話した。

 その期待に選手もこたえた。神戸国際大付(兵庫)との1回戦は1点差、この日は2点差と接戦に耐えた。船迫も「チームを負けさせないのが僕の役目」と自覚十分だった。

 過去2度の8強はいずれも2回戦が初戦で、夏は2勝が最高。明日21日の近江(滋賀)との3回戦に勝てば、71年に準優勝した磐城に並ぶ福島最多の3勝になる。斎藤監督は「次の近江戦も絶対に負けないこだわりを、選手に伝えたい」。聖光学院が福島の球史に新しい1ページを刻む。【久野朗】