<全国高校野球選手権:日本文理5-1聖光学院>◇22日◇準々決勝

 日本文理(新潟)は飯塚悟史投手(3年)の4試合連続完投で5年ぶりに4強に進出した。

 打たれても、辛抱強く右腕を振り続けた。6回を除いて毎回走者を背負い10安打されたが、速球とムキになる自分を捨てた。フォークでタイミングを外し、打たせて取った。今大会ただ1人の4試合完投。548球を1人で投げ抜いた。「どんなに速い球を投げても勝てなければ意味がありません。今日は打たれ強い投球ができました」と、汗をぬぐった。

 2回、1死二塁で聖光学院・高野に粘られた。決め球のスライダーを2度、ファウルされ、10球目を左前に運ばれた。「あれで打たせて取るしかないと思い、切り替えました」。初回に1度空振り三振を奪ったが、2回以降は奪三振0。「見極められてもしつこく低めに。投球の幅が広がりました」と、笑顔で振り返った。

 それでも、最後の打者には141キロを2球続け、気迫とスタミナを見せた。豊川(愛知)に延長サヨナラ負けを喫した今春のセンバツ後は、自主練習でひたすら走り込んだ。5日連続でブルペンに入り、200球を投げ込む日もあった。あえて肩の張った状態で投球し、精神面を鍛え、スタミナを蓄えた。「この連投のために練習してきました。今まで肩肘を痛めたこともないし、まだまだやれます」と、休養日を経て三重との準決勝も投げる覚悟だ。

 3回戦後は飯塚に苦言を呈した大井道夫監督(72)も、褒めちぎった。「(飯塚は)去年の夏はただ投げているだけの投手だったのに、今日はうまく緩急を使って投げていた。成長したよ」。大人の階段を上ったエースとともに、09年につかみ損なった大旗をとりに行く。【和田美保】