<全国高校野球選手権:日本文理5-1聖光学院>◇22日◇準々決勝

 日本文理(新潟)が、自慢の強力打線で12安打5点を奪い、準優勝した09年以来5年ぶりの4強進出を決めた。3番小太刀緒飛内野手(3年)が1回に先制適時二塁打、2回に勝ち越し中前適時打を放つなど、3安打2打点と活躍。4試合連続完投したエース飯塚悟史投手(3年)を強力援護し、聖光学院(福島)を破った。24日の準決勝は、三重と対戦する。

 秀才打者の3番小太刀は、配球を読み切っていた。1回1死二塁。初球のスライダーが低めに外れた。1ボールからの2球目。「1球目の変化球が外れたので、次は真っすぐがくると思いました」。狙い通り、真ん中低めの直球を左中間に運ぶ。新潟大会準決勝から5試合連続逆転勝ちしたチームに、貴重な先制点をもたらした。

 同点に追い付かれた直後の2回は、再び2死二、三塁で打席に立つ。1ボール1ストライクから、外角低めのチェンジアップを中前に運んだ。勝ち越し点を挙げて、先発の飯塚を強力援護。試合前日から相手投手の配球の傾向、対策を頭にたたき込んだ。洗練された頭脳で、狙い球をきっちり絞って、結果につなげた。

 進学コースと普通コースに分かれる同校で、小太刀は進学コースで学年1位の成績を誇る。栃木・作新学院中から日本文理に進学する際、母郁子さん(49)に勉強と野球を両立することを誓った。1日勉強は2時間と決めて、練習にも打ち込む。昼休みは職員室で、授業の疑問点などを先生に質問。大井道夫監督(72)は「頭が良くてね。野球してなかったら東大に入れるぐらい」と驚いている。

 小太刀の2打点で試合の主導権を握り、7回は小林将也外野手(3年)が貴重な追加点をたたき出した。2死一、二塁から、一塁後方への飛球を放つと、背走した一塁手がミットに当てて落とした(記録は二塁打)。小林は「ヤバイと思ったけど落ちてくれて良かった」とはにかんだ。

 エース飯塚の好投を打撃陣が援護し、5年ぶりの4強に進んだ。準優勝した09年の甲子園決勝は、6点を追う9回に、2死走者なしから4安打などで5点を奪い、1点差に迫った。当時中学1年生だった小太刀はテレビ観戦し、「野球って、こんなこともあるんだって身震いしました。鮮明に覚えています」と言う。あんな感動をもう1度味わいたい。追い掛け続けた全国の頂点まで、あと2勝だ。【前田祐輔】