<U18アジア選手権:日本20-0スリランカ>◇2日◇1次リーグ◇タイ・バンコク

 日本がスリランカに大勝し、同日午前に亡くなった済美(愛媛)上甲正典監督(享年67)へ手向けの勝利を贈った。練習試合で済美と何度も戦った明徳義塾(高知)岸潤一郎投手(3年)が左翼で先発し5回1死一、二塁で中前打を放ちコールド勝ちを決めた。投げては2投手で完全リレーを達成。上甲監督と親交が深い高橋広監督(59)は弔いVのためにも、今日3日の中国戦で1次リーグ3連勝を目指す。

 試合開始直前に、誤って流れた「ほたるの光」が何かを暗示していたのか。5回。岸の中前打で日本が20得点目を挙げ、ゲームセット。試合後、上甲監督の訃報を聞いた岸は「え…」と言った後、言葉を失った。これまで10回近く練習試合を行い「6月の壮行試合で“成長したな”と、言ってもらって。めちゃくちゃ元気そうだったのに…」と残念がった。

 鳴門渦潮(徳島)で指揮を執る高橋監督も“四国仲間”だ。上甲監督とは公私ともに付き合いが深く、定期的に食事会を開いた。出発前に電話し、部内いじめの問題で安楽智大投手(3年)を選出できなかったことをわびると「帰ったらまた試合をしよう、と言われました」とうつむいた。

 この日対戦したスリランカは格下だったが、先発全員となる19安打の猛攻で撃破。「(上甲)監督からは勝利に対する貪欲さを学びました。試合と直接関係ないですが、(弔いの)気持ちで頑張ります」。今後も攻撃の手を緩めず、“四国魂”で連覇へまい進する。【和田美保】