<高校野球秋季岩手大会:盛岡大付10-6盛岡四>◇2日◇盛岡地区予選3回戦◇岩手県営

 今夏の甲子園に出場した盛岡大付が、新チーム初戦で盛岡四を下し、白星スタートを切った。打線が13安打10得点と爆発。今秋のドラフト候補松本裕樹(3年)から背番号1を引き継いだ新エース右腕、杉山晃基(2年)は10安打4四球6失点で完投した。

 初勝利でも盛岡大付・杉山に笑顔はなかった。新チーム初公式戦で、自身にとっても初先発。「変なピッチングは出来ない」と臨んだが、思うように制球が定まらない。高く浮いた球を捉えられ10安打を浴び、2度の暴投や5失策も絡み6失点。相手を上回る13安打10点の援護をもらい勝利したが、杉山は試合後、目を潤ませていた。「エースとして情けない」と消え入りそうな声で話した。

 この夏、甲子園メンバーからは外れたが、打撃投手として同行。初戦の東海大相模(神奈川)の「140キロカルテット」対策として、ほぼ毎日10メートルの距離から打者に投げ続け、優勝候補撃破を陰で支えた。新チームで1番に選ばれたが、これまで公式戦の登板は6戦でいずれも短いイニングのみ。今大会直前に練習試合2試合で先発を経験したが、まだ経験不足は否めない。杉山は「球が高いと分かっていても修正できなかった」と悔しがった。

 松本の後の「1」という重圧を背負う。関口清治監督(37)は「現時点で一番いいのが杉山。(松本と)比較されると思いますが、それを乗り越えないと」と期待。この日も成長を促すため、どんなに悪くても杉山を代えるつもりはなかったという。

 先輩エースを目標としてきたからか、セットポジションに入る前の立ち姿など、しぐさは松本をほうふつとさせる。杉山は「自分はまだまだ。裕樹さんみたいに、1を付けるからには責任がある。(次は)しっかりゼロに抑えたい」。初戦の苦い経験を糧に、真のエースになることを誓った。【高場泉穂】

 ◆杉山晃基(すぎやま・こうき)1997年(平9)6月25日、東京都葛飾区生まれ。梅田小1年から東京北砂リトルで野球を始め、主に内野手。立石中ではすみだポニーに所属し、2年から投手。盛岡大付では2年春の県大会からベンチ入り。179センチ、73キロ。右投げ左打ち。家族は両親、姉。血液型A。